北アルプス周辺の山に登ると
天を突くように
ひときわ目立つ槍ヶ岳は
山ガールの間では「槍様」とまで言われるほどの
素晴らしい容姿です。
そんな山へ参加した皆さまの記録です。
1月から何度も鎖トレや岩トレを重ねても
未登の山への不安は取り除けるものではありません。
すこしきつい練習などした時は・・・
不安も更に高まることもあったと思います。
18日の朝、雨の中の出発でした。
高速道路でも雨は降ったり止んだり・・・
でも、上高地では雨は止み晴々した気分で歩き始め
徳沢園では青空が見え、
横尾山荘を通り過ぎ・・・
「順調に来ています!」
その頃から沢の音が増し雰囲気が盛り上がる感じです。
今回は・・・
1日目が槍沢ロッジ宿泊ですのでもうすぐです。
登山道が沢を少し離れてくればロッジ到着です。
「あと100m位です。」と言ったすぐ後、
強い雨がザ~と降り
あと100mなんだけど・・・!
「雨具着ましょう!」
2分も歩かない内にロッジ到着です。
しかし濡れ鼠状態でした。
ロッジでは乾燥室あり、風呂もあり、そして混雑もそこそこのため
布団も十分確保されてあり一安心!
皆さんが風呂に入っている最中・・・外は雨
明日の槍の穂先のことを考え、
此処で鎖通過の最終確認をする必要があります。
(先日の剣の時は剣山荘の部屋内で対策実施)
今回は廊下の隅で小声でしたが、
伝えたい内容は分かって頂けたようでこれで万全!
あとは天気です。
2日目の朝
出発準備が完了して、いざとなったら雨が降り出し
雨の中へ向けて歩き出しました。
「皆さんの心中は・・・?」
横尾辺りで会った木元ガイドは、「明日は良いう天気ですよ。」
と言っていたが、このまま・・・いや きっといい天気になる!
そんな思いでババ平のテント場でトイレ休憩。
いつ頃だったか雨も止み
雨具を脱いで
枝沢を通過する度に奥へ入っている感じとなり、
大岩辺りからは最高齢の I さんのペースが上がりません。
I さんに声掛けしたり、
そして1、2、3、4と号令をかけ一歩一歩登りますが・・・
そのうち合流した山ガールの皆さんも1、2、3、4と
一緒になって号令掛けて10人ほどで一歩一歩登りました。
山ガールの皆さんも辛い登りだったのでしょう。
晴れた槍沢に私達の号令が響き渡り・・・
高校山岳部の合宿のようです。
しかし、長い登りは続き、槍は見えているのに・・・
早めの昼食では、食が進まない I さんです。
朝ごはんも本当に軽いもので、行動食も本のひと口
絶対的にエネルギーが足らないことは確実です。
それでも食べることが出来ない。
分岐での休憩時・・・
槍沢ヒュッテの屋根が岩の上に見えています。
無理して乾燥バナナを1本食べて少し長い休憩を終え
分岐を右に折れ
槍沢ヒュッテへの登りです。
あと40分
1、2、3、4と声掛けして何とか止まらないで居て欲しい。
1、2、3、4・・・一呼吸しましょう!
そんなことを繰り返してやっと到着することが出来ました。
外のテーブルで4人で話し合います。
槍は正面に見えています。
天気も大丈夫。
「ここから肩の小屋まで50分、
山頂往復1時間、
帰路30分がコースタイムです。」
「12時に出発して1時が肩の小屋、
山頂往復が混雑も考慮して1時間半、
帰路50分くらいでしょうかね。
そうすれば4時にはヒュッテに戻ることが出来るでしょう。」
「でも、1時までに肩の小屋へ到着出来ない場合は、体が疲れていることと諦めて、引き揚げます。明日、登りましょう。」
今回は2日目の午後と3日目の朝で、2回の登頂のチャンスを作った計画です。
もし1時までに小屋へ到着できない時でも、チャンスはまだあります。絶対登るんだという強い気持ちが、そのような計画となりました。
話し終わると I さんから・・・
「私は小屋で待機して居ます皆さんで登ってください。」の言葉でした。
一瞬沈黙の時が流れ・・・
「私は以前に登っていますので、
この景色が見られただけで満足です。」との言葉・・・
色々とみんなで話しましたが、
「・・・分かりました。」
「それでは小屋で待っていてください。」
ヘルメットとハーネスを着け、 I さんに見送られて出発。
トントントンと歩き出して
YさんとFさんが小屋の裏で転倒!
やはり疲れているのか?
擦り傷を手当てして15分
細い岩稜や梯子を超え・・・
「チョッと待ってください!」 Fさんは大変そうな表情です。
「ここで大きく深呼吸しましょう!」
一呼吸して槍を見上げ
「もうあんなに近くなりましたよ!」
槍沢の登山道では小さく見える登山者が何人も登っています。
また歩き始め肩の小屋下まで着いた時・・・
雨が降って来ました。
「何でここで雨なんだ!」
空は灰色の中に黒さが増した雲が湧いてます。
「・・・」
歩き続けます。
小屋下に着いた時
先行していた八ヶ岳の渡辺ガイドグループが登頂して、
皆さん朗らかな顔で降りて来ました。
槍沢ロッジに泊まり、朝ご飯の前に出発した渡辺ガイド・・・
私達は朝ごはんを食べて出発、
その判断が間違っていたのか?
時計を見ると・・・行動は順調です。
穂先には何人もの人が取りついています。
先ほどの雨も無くなり青空
小休止して水分補給など済ませ
穂先へ登ります。
左手は岩角、右はロープのスタイルでしっかり一歩一歩
鎖場でも徐々に高度を稼ぎ
ハシゴも渋滞も無く
ロープで繋がった3人は一気に登り上げ、
登頂しました。
「槍ましたね!」
「ええ~!」
言葉少なに挨拶を交わし、
昨日の槍沢ロッジでお話した皆さんから、
「おめでとう御座います。」と声を掛けられました。
交代で祠の前で記念撮影です。
周辺は若干のガスが立ち込めていました。
私達の番が回って来ました。
カシャリ!
もう一枚お願いしま~す!
カシャリ!(有難うございます!)
やりましたね!
平均年齢72歳の2名のお客様は山頂へ到着しました。
山頂に居た人達は・・・
記念写真から流れるように鉄の梯子へと人は向かい、
私達も鉄の梯子を下り、
長いステンレスの鎖に掴まり
無事に穂先を下りることが出来ました。
いつも冷静なYさんも穂先を見上げて、グッと来たようです。
「良かったですね~!」
「・・・!」
あとは岩稜の先に見えるヒュッテに変えるだけです。
「心して下りましょう!」
ヒュッテでは洋食が準備されました。
この写真はヒュッテに泊まられた
「ひぐまさん」から拝借しました。
大変お世話になったヒュッテ大槍での美味しい食事で乾杯!
I さんも一緒になってお祝い!
I さんも全力を出し切って
ここまで来られたので、
自分でも満足されたようです。
その証に翌朝の三人様の達成感溢れる1枚です。
山では・・・
前日が仕事で遅くまで掛ってしまったことや
夜中の雨音で遅くまで寝ることが出来なかったなど
色々なことが障害となることが有ります。
小さなものから大きなものまで
すべて乗り越えなければ山頂に立つことが出来ません。
後になって
何処かの山頂から槍を見た時
頑張って槍に登って良かった。
私はあのとがった槍に登ったんだ、・・・と
あの日のことを思い出してくれると思います。
良い思い出が1つ増えて・・・
そして良い山友が居て良かったですね~!
ps
I さんも、Yさんも、Fさんも 今は次の山へ登るため
栄養補給や
足腰の休養をされています。
いったいどこまで登り続けるのでしょうか?
横尾山荘のお風呂は有難かったですね。
本当に・・・
お疲れ様でした~!
登山・トレッキングのガイド「風」 (HPも宜しくお願いします。)
・・・
「風」のガイドプラン (こちらも宜しくお願いします。)