厳冬期の硫黄に登って来ました。
参加されたみな様の中には・・・
「荒天になってくれるといい。」・・・そんな言葉も聞かれました。
それは・・・
荒れた天気の中で自分がどこまでやれるか!
単独では少々不安、
でもガイドと一緒ならそれも安心して体験で来る。
その言葉から、そんな心中を垣間見た感じでした。
21日・・・
八ケ岳山荘で全員集合し、いざザックを背負って出発です。
みんなザックはパンパンになってます。
色んな想いも一緒に詰め込んで来たのでしょう。
今回の登山を成功させなければ・・・
休憩中の並んだザックを見て、そのようなことを思いました。
この日は長い登りを一歩一歩登るだけです。
此処から少しペースを上げ、
1度小休止をして一気に赤岳鉱泉に到着です。
みんな汗びっしょりです。
でも頑張って重い荷を背負ってきました。
快晴の空と真っ白な稜線が、私達を迎えてくれました。
部屋に荷を置いて、アイゼンとピッケルワークを隣の斜面で実施。
ブルブル震えながらサク、サクとアイゼンを雪面に差し込むように登り下り、
冷たいピッケルを持つ手も指先が痺れるようです。
肝心なのは特に下りの・・・「フラットフィッティング!」「歩幅を小さく。」
・・・とは言うもの、
緩傾斜の斜面では今一つ緊張感も湧きません。
夕食までの1時間があっという間です。
みんな寒い寒いと何度口にしたことか。
玄関で雪を払って夕食に向かいます。
鉱泉名物のステーキです。
見ても楽しい夕食で、小屋からのワインで乾杯!
寒い中、お疲れ様でした~!
こんな楽しい時間は下界では味わえません。
小屋って、いつ来てもいいですね!
ワインを一本追加してまた乾杯!
そんなほのぼの気分が少し落ち着いた頃
部屋では研修が始まりです。
持参した資料を見ながら、
冬山の研修とコンパスを活用した退路の確保です。
コンパスをグルグル回して角度@@度とか面倒ですが、
頭に叩き込んで明日に備えます。
22日・・・
外の気温は-15度・曇り、山頂部は風も強そうです。
朝食を済ませて外でアイゼンを着ける皆さんの表情は・・・
気合が入っていました。
そして・・・
立ちあがって山頂の方を見た眼は不安そのもの。
それじゃァ 行きましょう!
返事も小さく・・・「大丈夫かしら?」という気持ちが伝わって来ます。
昨夜、地図で見た通り、樹林の種類も徐々に変わり、
此処から上は稜線という所でビーコン再点検!
間隔を空けて稜線に飛び出ます。
稜線は風が強く、何員もの人が稜線上にいました。
コンパスを回して・・・
「@@度、Aさん覚えておいてね!」
「自分が登って来た道の端にある
ケルンや岩もしっかり頭に叩き込んでくださいネ!」
登るにつれ風が強くなります。
傾斜も岩もあります。
昨夜の話しに出た・・・
「装備がしっかりしていれば、風も寒さもある程度我慢できます。」
「そして心の状態もコントロール出来ることへ繋がります。」
とはいえ・・・この環境!
そんな言葉は吹っ飛んでいることでしょう!
全員でロープでつなぎます。
下山のために、1箇所赤旗を立てました。
退路を確保することの、まあ戦略の一つですね。
こんなことも・・・次回友達同士で来た時に役立つことと思います。
そして、またコンパスを回して・・・。
風は左の頬を打ち付けます。
凍った雪を舞い上げ顔に叩きつけて来ます。
でも一歩一歩前進して顔を上げると山頂が見えました。
体感で12~13mの風、鉱泉出る時は-15度・・・
体感温度は確実に-20は超えています。
全員が並んで記念写真など少々気持ちが盛り上がりません。
というより、みんな早く引き上げたいという方が先でしょう。
すぐ下山開始、
1箇所大きな段差があります。
ロープで確保してますが、1人ひとり下ります。
「ピッケルを雪に打ち込んで!」
「草と雪の塊に、もっと強く、」
「シャフトの下を持ってもう一度!」
やっと
シッカリ打ち込めました。
身体を預けるように下りました。
そしたら
ポンポン下っています。
「もっとゆっくり!」
「ゆっくり!」
後で聞きましたが・・・
「あの時はこの状況から、早く脱したいことで精いっぱいだった。」
・・・と話してくれました。
今回の経験で、
次回は慎重にゆっくり下れるでしょう!
そして赤旗まで来て右方向へ方向転換です。
「赤旗です!」・・・と赤旗を指さして私に伝えてくれてます。
確認のためにコンパスの角度を聞きましたが、
ハッキリ・・・「@@度です。」と覚えていてくれました。
そんなことで
稜線を下りたところで一息写真タイム!
「もう少し先まで下って小休止しましょう!」
樹林の中でホッとして、ドライフルーツを一口頂きました。
なんとも言えない自然の甘さが、
見る見るうちに口いっぱい広がり、
緊張を解いてくれて、ホッとする気持ちにさせてくれます。
テルモスの温かなお湯も嬉しいです。
小屋まで下山して
自炊室でコーヒーを沸かし、
みんなで飲んで一息入れて肩の緊張もほぐれた感じです。
ゆっくりと休憩しながら菓子パンをかじって下山開始です。
下山はアイゼンも脱いでテンポ良く下り、
最後の通称「根性坂」でも、
最後の力を振り絞ったように登り、
美濃戸へ到着しました。
八ケ岳山荘で全員から一言感想をお聞きしましたが、
全員の目がキラキラと輝いて、
見ていた私は涙が込み上げえて来る思いでした。
また、今の時代です。
ブログやフェイスブックでコメントを入れた皆さんの言葉を読んで・・・
登りでパンパンになるほど詰め込んだザック内の想いが
今は胸の中で更に膨れ上がっていること
嬉しいですね~!
今度はあの硫黄へ山友さんと出掛けることが出来ると思います。
一歩前進ですね!
美濃戸に着いた時の皆さんの表情は・・・
全員が、
「バンザ~イ」
・・・でした。
やっぱり
山って良いですね!
やったネ!