秩父の名峰である武甲山へ登りました。
合流場所へやって来たバスは中型のバスでした。
「いつもと違いますね~」
その先のことはあまり考えませんでした。
バスが秩父の街中を過ぎて、
工場の前を通り過ぎ、
その先の道がカヤトのように両側から枝が繁茂して・・・
道も狭くなっています。
(大丈夫かな~!)
真新しいバスのボディーに枝をこするように進み・・・
ストップです。
添乗委員さんと私はバスを降り、道の確認・枝の確認です。
「これ以上は止めた方が良いかも知れません!」
ドライバーさんも額に汗が滲んでいるような表情でした。
バック・バック・・・
「オ~ライ、オ~ライ!」
バスはそのまま枝をこするようにバックです。
広い所まで来て私も安心、ドライバーさんも安心、添乗員さんも安心、
そしてお客様も・・・。
「良かった、良かった。」
「ふ~ッ!」・・・あんなデカいバスが立ち往生したら一大事です。
全員バスを降りて歩き始めました。
そんなことが出発前にあって、武甲山登山は始まりました。
此処は狛犬が狼になっています。
狼が家の近くに来るとタヌキやイノシシが去って行き、
結果的に作物が被害に遭わずに済むという。
狼は守り神!
そんなところから犬に変わって狼が鎮座することとなったらしいです。
因みに・・・
群馬県の桐生市内にある鳴神山の狼が鎮座しています。
私の話はいつも長くなっていけません。
お客様は・・・あっちを向いたり、こっちを向いたりしています。
「それでは出発しましょう!」
滝を見たり、杉の大木を見たりしながら杉林の中を登って行きます。
今日は天気も良いし、山頂からの展望も期待できます。
20人ほどのお客様は色んな人が参加しています。
・始めて登山ツアーに参加した人
・わたし、大丈夫かしら?と不安な人
・大仲間に誘われて来た人
・旦那様に内緒で来た人(もしかしたらです。)
・そして体調の確認に来た人
皆さんは色んな思いを抱いて一歩一歩登っています。
私は、(少しだけ)登る速度を落として登ります。
後では賑やかな話し声がずっと聞こえています。
何を話しているか分かりませんが、
実に賑やかで楽しそうです!
「あれ~、今何丁目でしたっけ?」
ここは丹沢の大山と同じで・・・
石柱に丁目が五十二丁目まで刻まれてあります。
「そうですね、あと5分の一ですね。」
そうすると、
お客様の方から・・・
「あと少し、頑張りましょう!」・・と声が掛って来ました。
「了解しました。12時半に工場のダイナマイトの爆発音が聞けると良いですね。」
そしたら・・・
「高橋さん、だって、今日は祝日ですよ!」
そうして私達は山頂に到着しました。
やった~!
順調です。
周辺はお昼を広げたり、
バーナーで用意したりしている人がくつろいで居ます。
いい雰囲気です。
神社を通り過ぎたら「ドドド~ン」とダイナマイトの音がしました。
時計を見ると、ちょうど12時半でした。
「発破の音ですね。」
まだ「ドドド~ン!」
「聞こえました~!」
祝日でも今日は工場やっているようでした。
私達は山頂まで行って、そしたら昼食です。
群馬の赤城山や榛名山、そして浅間山もうっすら霞んで見えています。
秩父の街並みも・・・。
山頂で集合写真を撮って、一旦昼食解散です。
山の解説をいつまでもしていると
昼食時間がどんどん少なくなって行きます。
「此処で良いですか?」
5~6人の皆さんと少々風が当たりますが、輪になってお弁当を広げました。
「あれ~ッ、もうこんな時間です。」
楽しいお昼の時間はあっという間でした。
私はいつも話して居て、お弁当が進みません。
急いで残りを頬張り、立ちあがります。
澄み切った青空と秋の空気
仕事とはいえ、楽しい時間を皆さんと一緒に過ごして、
そして写真など撮ったりして集合場所へ向かいました。
「登りは杉林でしたが、下山は自然林の中です。
時々急な個所もありますが、注意して下れば問題ない道です。」
「それでは・・・下山開始で~す。」
1列になって、カラマツがの葉が敷き詰められた登山道を下ります。
今日の皆さんは、足慣れているみな様で、トントン、トントンと下って来ます。
「よし! 順調だ!」後方を振り返って頷いたりして、また下ります。
自然林はやがて終わり、杉林のジグザグ道です。
「上を歩いている人は、
気に入らない人が歩いても石は落とさないでくださいね。」
そんなブラックジョークも言いながらどんどん、どんどん下って・・・
河原で一休み!
この先の丸太の橋が流されて、
滑りそうな石の上を渡る時は、、、
不安な表情です。
私も心配になって、
石の上で手を貸したりして全員無事にわたり切りました。
「もう安全です。」
「ここからは林道です。」
そしたらまた、楽しそうな話し声が ずっと、ずっと そしてずっと続いて・・・。
私も何だか嬉しい気分です!
武甲温泉でさっぱりした皆さん、
これからは、渓流釣りが好きだというドライバーさんに任せて一休み!
バスの中で1日を振り返り、お別れのご挨拶のことを考えます。
「みなさん、お疲れ様でした・・・。
今夜は、このまま家には帰らず、
伊香保温泉でも行って美味しいもの食べて、
一杯軽く飲んで泊まって行きましょう。良い宿知っているんです!」
・・・あの時は、そんな話をしたい気分でした。
あの日も楽しい武甲山でした。
なんであんなに賑やかで楽しそうなんでしょうか。
自然の空気を胸いっぱい吸いこんで・・・
息をはく時は、毎日の生活で溜まったストレスも一緒に吐き出して・・・
汗をかいて
お弁当を輪になって食べて
ひやひやしながら川で石を飛び越えて
・・・・
やっぱり・・・
色んな小さな楽しい事が積み重なって、
大きな楽しさになるのでしょうかね~!
私も分かりません!
でも、今思うとやっぱり楽しかった武甲山でした。
参加されたみな様も、きっと楽しい武甲山だったに違いありません!