標高1000ほどの石灰岩の山です。
同じ石灰岩の山では武甲山や叶山が石灰の採れる山として、
山の形が刻々と変わっていることで有名ですね。
この山は岩山として、多くの登山者やクライマーから親しまれています。
特に東岳の弓状バットレスは前傾壁のため、フリークライマーに人気があります。
今回私達は・・・
「マイナーなルートを登る」・・・整備が進んでなく、
ハーケンなどの支点も老朽していて、自分達で設定しながら登るという・・・
その様なことをテーマの一つにして出掛けて来ました。
1日目
こんなルート図を頼りに山へ入ります。
これは西岳の西壁です。
赤印のルートの三峰フェイスクラックルートを登りました。
新緑の葉が茂り始め、
下からでは岩山の全体像の把握をしにくい状況でした。
「この辺が三峰だから、もう少し登ってみよう。」
こんな感じの岩と立木のブッシュ帯をどんどん登って行くと、
山椒が沢山あったりして、とげが結構痛い林でした。
「あれー もう終わりだ。」
そんな山椒の生えるテラスから上を見ると稜線です。
明らかに間違いです。
この辺を適当に登れば見つかるさ的な、安易に考えた気の緩みの結果でした。
明日の天気は期待薄での日程の中とんだ失態。
反省です。
2峰の岩稜です。
山頂から少し下り始めた登山者は途中で引き返してました。
一応登山道ですが・・・
昭文社の「山と高原地図」の分類では実線でなく、破線で標示された難路です。
鎖の設置もありません。
引き上げて正解かもしれませんね。
そんな状況を見届けて、トボトボと下山としました。
夜になって、テントに落ちる雨音が聞こえ、明日は雨、
今回の「安易」が原因による失敗が悔やまれました。
2日目
テントの外は明るく、小鳥のさえずりで目覚めざめました。
晴れです。
ラーメンをサクッと食べて再度西壁へ向かいます。
「こんな良い日なら、昨夜もっと早く寝ておけばよかった。」
そんな思いで・・・
ニリンソウやヒトリシズカなど咲く道を進みます。
今日は駄目だと思っていた日、
シッカリと登らないといけません。
身支度を整えて十分観察します。
予定通り、50mほど林の中の岩を登ってルートの取り付きへ辿り着きました。
矢印のとおり、岩の弱点を突いたルートです。
これからの核心部は約50mです。
十分味わって登ります。
ハーケンや立木の根元にシュリンゲをくくりつけてカラビナを掛け、
そこにロープを掛けて中間支点とします。
SMさんは快適に登って行きます。
50mロープが半部ほど伸びたところで、ロープの流れが止まりました。
ピッチの終了点に着いたのです。
自分の確保を済ませた頃・・・
「ビレー解除」
私達はロープの確保を解きます。
そして残ったロープは引き上げられます。
ロープがいっぱいまで引き上げられました。
「どうぞ~!」
Kさんが登ります。
私は5~6M程下を登ります。
もしKさんが落ちた場合にも衝突しない距離を保ちます。
私は赤、Kさんは青ロープに繋がれた状態です。
各自のロープに掛けられた中間支点を回収しながら登ります。
快適です。
青空、風、岩、そして適度なホールド
幅1m程の岩棚で3人は回収したカラビナなどを受け渡しをします。
今度は私が登る番です。
これから先は人工登攀で登られていた場所です。
当時の40~50年ほど前は、今のようにクライミングシューズも無く、
登山靴で登っていたため、アブミ(3~4段の縄はしご)を使用していました。
岩に打ち付けたハーケンにアブミを掛けかえしながら登っていたのですね。
さすがに今はクライミングシューズを履いてますので、
アブミは使用しませんが、
ハーケンなどにカラビナを掛けて、
それを手掛かりに登ることにしました。
表記タイトルのクラックというのは岩の割れ目で、
岸壁の弱点となります。
そこに手を刺し込んだり、足を入れたりして登ります。
下を見ると高度感抜群です。
50㎝登り、手掛かりを探したり足を置く場所を探しながら体を引きえ上げます。
「ここは何処にホールドがあるのかな?」
「これかな?ダメだ。」
SMさんが言ってましたが、色々と悩んでいる時に、
安心したホールドが探せた時、掴んだ時は・・・すべての問題が解決する
・・・と何と上手な表現でしょう!
また50㎝ストレスを感じながら登ります。
良いホールドを掴んだ時の一瞬の安堵。
思わず
「ふ~ッ」
・・・とため息が漏れます。
その繰り返しです。
ストレス、安堵、そしてストレス繰り返しです。
カムを岩の間に入れて体を引き上げもしました。
半楕円形のカムは岩の間に差し込んで使います。
キッチリとセットすれば体重を支えることが出来ます。
岩の傷めずクリーンンな登攀用具です。
風が強くなってきました。
もうすぐ着く頃と思って上を見ると岩稜です。
到着しました。
風で声は20mも下に居る仲間には届きません。
ロープを引いて予め決めて置いた合図をします。
終了部にはピカピカのボルトが設置されたありました。
やはり、今も登られているのですね。
先人の築いた「三峰フェイスクラックルート」は、
これからもずっと残り続けることでしょう。
今度は私が上で登って来る仲間を確保します。
青ロープのKさんが先に登って来ました。
ゆっくりと慎重です。
次はSMさんです。
左手でしっかりとした岩角を掴んだようです。
見ている方も安心です。
3人は風を避ける縦走路で・・・
至福の時間を味わいます。
足元には2㎝ほどのフデリンドウが思いっきり陽の光を受けてました。
みんなの顔にもおんなじ太陽の光が当たって、
笑顔も一層すがすがしいものでした。
当分辞められそうにありません、 岩登り!
両神山も青空の下
前日の間違い、その失態を踏まえ・・・
最終的に目的のルートを登って満足の1日となりました。
縦走路から見えた叶山です。
トラックが動いて活躍してました。
拙い文章ですが、
最後まで読んで頂き、有りが寵御座いました。