栗毛の怪物・グラスワンダー逝く
おいらが競馬を知る前の競走馬・グラスワンダーが30歳で亡くなりました。
正直、時々見かける映像でしかその雄姿を見たことがありません。
とはいえ、その雄姿はいまだに根強く語り継がれているのが現状です。
いまだ人気の強いグラスワンダーの生涯を少し記事風にして追ってみたいと思います。
1990年代後半から2000年代にかけて競馬ファンを熱狂させ、「怪物」と称された名馬、グラスワンダーが8月8日、30歳でこの世を去った。晩年を過ごしていた北海道新冠町の明和牧場で、老衰による多臓器不全のためだった。
黄金世代と呼ばれる1995年生まれの競走馬の中でも、グラスワンダーは抜きん出た才能を持っていた。デビュー前からその素質は高く評価され、1997年の新馬戦では、後に「マルゼンスキーの再来」とまで言われるほどの圧倒的なパフォーマンスを披露。そのまま無傷の4連勝で朝日杯3歳ステークス(GⅠ)を制し、その年の最優秀3歳牡馬に選出された。
しかし、その競走馬生活は決して順風満帆ではなかった。翌1998年には骨折で長期休養を余儀なくされ、復帰後も思うような結果が出ず、一時はその輝きを失ったかのように見えた。だが、その年の暮れ、多くのファンの期待を背負って出走した有馬記念(GⅠ)で、古馬の強豪を相手に見事な復活勝利を飾る。
そして迎えた1999年。この年は、同期のライバルであるスペシャルウィークやエルコンドルパサーとの壮絶なライバル関係が、多くの競馬ファンを魅了した。春のグランプリ・宝塚記念(GⅠ)では、スペシャルウィークとの初対決を制し、秋には毎日王冠(GⅡ)でサイレンススズカに敗れるという悔しい経験も味わった。
しかし、その年のハイライトはやはり有馬記念だった。再びスペシャルウィークとの一騎打ちとなったこのレースで、グラスワンダーは伝説的な叩き合いを制し、史上2頭目の有馬記念連覇、そしてグランプリ3連覇という偉業を達成した。その力強い走りは「怪物」という言葉にふさわしいものだった。
引退後は種牡馬となり、スクリーンヒーローやアーネストリーといったGⅠ馬を輩出。特にスクリーンヒーローは、ジャパンカップを制し、その産駒のモーリスが国内外でGⅠを6勝、さらにその産駒のピクシーナイトがGⅠを制すという「父子4代GⅠ制覇」という快挙を成し遂げた。その血は今もなお、競馬界に脈々と受け継がれている。
現役時代はわずか15戦9勝というキャリアだったが、その強烈なインパクトと、ライバルたちとの名勝負は、多くの競馬ファンの記憶に深く刻まれている。30歳という長寿を全うし、静かに旅立ったグラスワンダー。その雄姿は、これからも語り継がれていくだろう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
参考資料