答えを探し続ける
深い海の底で、一匹の小さな魚が目を覚ました。
彼は、自分が何者なのか、どこから来たのか、何も覚えていなかった。
なんとなくだが、解っていることは、自分がちっぽけな存在であること…。
ただ、胸の奥底に、熱い魂のようなものが宿っているのを感じていた。
その熱い魂に導かれるように、暗い海の中を泳ぎ始めた。
平らで平坦な海底をゆっくりと…。
時には、流れの穏やかな海流を…。
ひたすら、泳ぎ続けた。
目を覚ました場所なんて忘れてしまうくらい泳ぎ続けた。
彼は、泳ぎ続けるうちに、様々な生き物たちと出会った。
優しいクラゲ…。
「………」
勇敢なイルカ…。
「………」
そして、知恵を持つクジラ…。
「………」
彼らは、彼に優しく接してくれた。
だが、彼の心の奥底にある渇きを満たすことはできなかった。
自分が本当に求めているものが何なのか、まだ分からなかった。
ある日、彼は、巨大な海流に巻き込まれてしまった。
激しい流れに翻弄され、何度も死にかけた。
しかし、そのたびに、胸の奥底にある熱い魂が、彼を奮い立たせた。
彼は、必死に海流に逆らい、乗り越えようと抗う。
なんども、なんども、逆らい抗う。
激しい海流は、そこにあるだけで存在で、飲まれなければいいだけの存在。
ほんの少しでも力を抜けば、激しい海流の飲まれてしまう。
自分が何のために泳ぎ続けてきたのか、その意義さえも失ってしまう。
つまりは、すべてを失うこととなる。
だから彼は、必死に海流に逆らい、乗り越えようと抗うのを止めない。
なんども、なんども、逆らい抗い続け…。
ついに、それを乗り越えた。
落ち着きを取り戻し、前を向く…。
激しい海流を乗り越えた彼の前に広がっていたもの…。
「………」
それは、今まで見たことのない美しい場所へとたどり着いた。
そこには、色とりどりの魚たちが、楽しそうに泳ぎ回っていた。
その光景に、心を奪われた。
自分が本当に求めていたものが、この美しい世界にあることを知った。
この美しい世界で、様々なことを学んだ。
魚たちとの触れ合い、自然の厳しさ、そして、生きることの喜び。
これらの経験を通して、大きく成長した。
そして、彼は、自分の胸の奥底にある熱い魂が、自分を導いてくれることを確信した。
これからも、この美しい世界で、様々なことを経験していくだろう。
喜び、悲しみ、そして、時には、苦しみも。
しかし、彼は、どんな困難に直面しても、自分の魂を信じて、生きていく。
なぜなら、彼には、暑い魂が宿っているから。
彼は、今日も、海の中を泳ぎ続けている。
彼の魂は、未来に向かって、燃え上がっている。
今、目にしている美しい光景はゴールではないことを知っている。
それは、一時の心の休息地なのだと…。
海底は、答えを探し続けるのには、広大すぎるのだから。
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今回の作品タイトルは「答えを探し続ける」です。
ジェミニ先生にとある楽曲の歌詞をテーマにした餓死してもらったものを、おいらが加筆・修正した、いつもの形です。
今回は登場人物の指定をしなかったので、魚となってしまいましたが面白い作品でしたね。
なので物語の展開となる視点が独特でした。
興味深いのは会話文が一つもない事ですね(;^_^A
ジェミニ先生も苦労したのか「彼は」という表現を各分奏の6割くらいにつけていて、修正が大変でした。
おいらが加筆・修正した割合は3割くらいでしょうか。
かなり壮大な海底の成長物語になっていますが、おいらのレベルが低いためうまく編集しきれていませんのはご了承ください。
テーマとなっている歌詞の楽曲は解る人には解ると思いますよ。