画像:写真AC
雪が舞い降りる静かなゲレンデ。
リフトに乗り込み、窓の外に広がる銀世界を眺めていると、ふと去年の冬を思い出した。
あの日、初めて君と出会ったのは、このゲレンデのカフェテリアだった。
大勢のスキー客で賑わう中、たまたま隣同士の席になった。
互いに好きな音楽の話題で盛り上がり、あっという間に時間が過ぎていった。
「あのさ、また会えたらいいね」
そんなことを言われた気がした。
でも、照れくさくて、結局名前も聞けずにいた。
君も何かを言いかけてはやめていたので、きっと名前を聞き出したかったのだろう。
でもお互いに、名前を聞けずじまいのまま…。
名前も知らない君に会いたくて、期待してしまう。
それからというもの、このゲレンデに来るたびに、君を探してしまった。
カフェテリア、リフト乗り場、ゲレンデ、ありとあらゆる場所を。
でも、君の姿は見つからなかった。
それでも、君との出会いは私にとって忘れられない冬の思い出になった。
あの日の雪景色、君の温かい笑顔、そして、一緒に聴いたあの曲。
「DEPARTURES」
あの日、カフェテリアで流れていたglobeの曲だ。
「またいつか、どこかで会える気がしてる」
そんな漠然とした期待を抱きながら、私はゲレンデを滑り降りた。
その年のシーズンは、結局君とは再開できなかった…。
一年後、再びこのゲレンデに立っている。
「もしかしたら、会えるかも…」
そんな淡い期待を抱きながら、カフェテリアに向かった。
そして、窓際の席に座ると、そこには見覚えのある人がいた。
くるりと顔を向けると、それは紛れもなく、あの日の君だった。
「あの…」
思わず声が漏れる。
君も私を見て、目を丸くした。
「まさか…?」
「まさか…」
私たちは同時にそう呟いた。
色づくことなく儚い期待にしがみついて過ごした雪のない季節たちに、急激に彩りが戻る。
それは初めて抱いた感情と向き合い続けて過ごし、温かな強さとなっていた。
「偶然ってあるんだね」
嬉しさが込み上がりすぎて、涙声で話しかけてしまった。
そんな私を見て、君は優しい微笑でうなずいてくれた。
「また出会える期待を、捨てなくって良かった…」
「……!?」
その言葉を聞いてから隣の席へと座った。
きっと、私の顔は赤く染まりきっている、そんな熱を感じながら…。
そして、再び、あの日のように話が弾んだ。
「あの日、名前を聞けなくてごめんね」
「こちらこそ。でも、あの日…君と出会えて本当によかった」
私たちは、お互いのことをもっと知りたいと思った。
雪が降りしきる中、私たちはゲレンデを後にした。
あの日、始まった私たちの物語は、きっとこれからも続いていく。
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今回はジェミニ先生を忘れて綴り続けました(;^_^A
かき上げてから赤ペン先生を頼もうかと思いましたが、修正が面倒なのでジェミニ先生にはお休みしてもらって、完全オリジナルですね♪
書き始めるとサクサク進むタイプなのでここまで所要した時間は20分くらいです。
季節をまたいた冬の物語、いかがでしょうか?
拙い文章ですが、殴り書きにしては結構まとまった感じになっていると思います。
普段は短編を書かないので、結構いい刺激にはなるんですよね。