「 やだなぁ じいちゃんボケちゃって 」



涼太は玄関の前で


自転車のハンドルを持ったまま


オイオイと泣いている祖父を見て


思わずそう声が漏れた




「 昔は頼れる町の先生で、


ここら辺の子は


みんなじいちゃんに診てもらって


育ったもんなのにね 」




そう言いながら


涼太の母が介添えし


亮治を家の中へ導いた




涼太がクロを片付けようとすると


いつのまにかチェーンが切れていた




黒い自転車はまるで役目が終わったように



静かにそこに立てかけられた