田中安雄は気がつけば公園にいた



目の前に色のくすんだパンダの遊具


それで自分がまた、色のくすんだ


ゾウの遊具になってしまったことを理解した



この自宅から徒歩1分の公園のことは


なんでも知っていた、、






不思議な感覚だった



向き合うパンダ遊具の幾分間抜けな面が


なんだかとても懐かしい



やがて目の前に


日本酒の瓶を手にぶら下げた青年がやって来て


運転ミスでお宅の田んぼに車を落として


稲を荒してしまったと詫びた






俺はそんな事はどうでもいいと


いつになく寛容な感じで


その青年に向き合った






本当にそんな事はどうでも良かった



それより問題なのは


いつも俺の背中に乗って遊んでくれた


あの子のことだった



どうやらあの子は俺よりほんの一瞬先に


旅立ってしまった様だった



今、俺の背中にあの子の温もりを感じている




色々悪さをして


唐突に最期を迎えてしまってしまった俺だけれど


なんかひとつくらい、いい思い出が欲しかった




青年には日本酒の御礼を言って


さっさとそこを離れた




俺はオレンジ色の夕焼け空を


あの子をおぶって飛び続けた



いいんだよ


どうせこの世は修行の場


命の長短にはあまり意味は無い


それよりも、、、





ある朝目覚めると


自分が昆虫に変身してしまう


小説を読んだことがあったが


公園の置物に変身するとは思わなかった




だが、それでもいいでは無いか



生涯独身で


自分の子を背中に抱いた事が無い俺に



神様がしてくれた


粋なはからいに違いないから