朝から降っていた小雨が
やがて雪に変わっていった
肌寒い日曜日
千帆はコンビニで
肉まんをふたつ買い
アパートの階段を速足で上がって
部屋をノックした
だが、いくら待っても
いつもの返事が無い
千帆が階段を駆け降りて
下から部屋を見上げると
カーテンのかかっていない
殺風景な窓が見えた
慌てて彼にショートメールを送る
程なくして返信があった
” ごめん今は会えない また連絡します “
たったそれだけ
千帆は電柱にもたれかかって
しばらくの間
全く面白味のない
グレーの空を見上げていたが
やがて思い直した様に
その場を去って行った
最近、僕は
ふたりに連絡をとっていた
ひとりは母親
もうひとりは
かつて勤めていた会社の上司
母親に
実家に帰りたいと言うと
「 帰ってきたら何が食べたい? 」
数秒の沈黙の後
涙声でそう聞かれた
上司には
仕事を途中で投げ出し
辞めてしまった事を詫びた
「 どんな形でも 連絡してくるのを
待っていたよ、、、」
それから僕は
もう一度クリニックに通い始め
週2回の下肢のリハビリを再開した
続く、、、