第12週 「恋しくて肝(ちむ)どんどん」

お昼に放映中の再放送で視てます。
ワタシが朝ドラを欠かさず途切れず連続視聴を続けるようになったのは、2010年放映開始の『てっぱん』から。まだまだ朝ドラ界では新米の十年選手です。『ちゅらさん』の放映はそれをさらに遡る2001年。名作の誉れ高いこのドラマは視ておきたかった。NHKオンデマンドで視ることはできますが、朝ドラ一作フルシーズンをまるまる視るとなると気合が要ります。なので地上波で放映してくれるのは、いいきっかけになりました。
 

「恋しくて肝どんどん」

こんなサブタイトルの週があったのかと、うれしくなって日記の筆をとりました。
このドラマを視て、設定で近しく、ゆえにしばしば比べられる『ちむどんどん』(2022年)との違いをあらためて実感しました。
黒島結奈ちゃんのことは好きだし、悪く云いたくはありません。それでもさすがに放映当時、何度もこう思ったものです。

黒島ちゃん、そろそろタイムリープして、比嘉家の歴史をやり直してもらえる?(その辺にラベンダー、生えてない?)

古波蔵恵里=国仲涼子と比嘉暢子=黒島結菜、ふたりのヒロイン像はタイプ的にはわりと似ていると思います。
考えなしで無鉄砲で夢見がち、それでいて行動力だけは超人的というあたり。

両作で大きく隔たっているのは、周りのキャラでしょう。
まともなんですよ(笑)。『ちゅらさん』の脇を固める人々は。
さすがに共感し切れないヒロインの「行き過ぎ」に、ちゃんとツッコミを入れてくれる。特に典型的「ツンデレ」の菅野美穂とか。
 

だめってことはないわよ? あなたの人生だからさ。看護婦になろうが医者になろうが、総理大臣になろうが、だめってことはないわよ。
でもあんたさ。ちょっと前にさ、ね? あそこの店で自分のつくった料理食べてくれて、お客さんの喜んでくれた顔が忘れられないからって、で、あの店で料理始めたんじゃなかったっけ?
それが病人看護したら看護婦になるわけ? じゃあなに、あんたはさ、歌うたって誰かに喜ばれたら、歌手になるわけ?


城ノ内真理亜=菅野美穂
――57回より

 

こちらの気持ちをこうして「代弁」してくれるのが心地いい。だからモヤモヤしないで済む。安心してドラマに入り込めるのです。

『ちむどんどん』は少なからぬ脇役勢が、主人公に負けないくらい、おかしかった。
サギ同然のせがれの「紅茶豆腐」ビジネスに金出すなよ、応援するなよ仲間由紀恵!――みたいな。終始、モヤモヤさせられっぱなしでした。
 

兼城昌秀=藤木勇人
――66回より

沖縄料理屋店長という、両作を通じて完全に同じ設定、同じ役柄の藤木勇人さんには、『ちむどんどん』→『ちゅらさん』という、通常とは逆の時系列で懐かしさと再会のよろこびを感じました。
それにしても、変わらんなあ! 『ちむどんどん』並みに、ほんの数期前のドラマのように思えてしまう。

藤木さんだけじゃない。国仲涼子を筆頭に、菅野美穂も、余貴美子も、戸田恵子も、(ついでに)ゴリも。二十年以上昔のドラマなんだよ?
みんなのあまりの変わらなさぶりのせいで、ひとりだけムッチャ変わった山田孝之が目立ってしょうがない。

こんなにかわいかった坊やが、ウシジマくんになってしまうなんて……。

 

古波蔵恵達=山田孝之 丑嶋馨

――(左)『ちゅらさん』57回より (右)映画『闇金ウシジマくん』より