第19週「島へ」
第20週「気象予報士に何ができる?」
僕は、東京へ戻ろうと思ってるし。
ごめん、先に言わなくて。中村先生から、大学病院に戻るように言われた。あなたにも、ちゃんと相談しようと思ってた。
5年間、地域医療に携わってきて、その重要性は、日々、感じてる。まだ、やりたいことも山ほどある。ただ同時に、医療の進歩も感じていて、一度、戻ってもいいと思った。
正直、初めの感想は、もう戻ってくるんかい!? でした。登米の菅波と東京のモネとの遠距離恋愛は、放映上では第17週のラストから始まったばかり。第18週の一週を挟んだのみで、第19週で菅波はこう云っているのですから。どうしても唐突感を覚えてしまいます。
ですが、ドラマの世界では数年越しの歳月が流れています。そのことは、理解しなければなりません。
ワタシはNHKオンデマンドで振り返って視聴し、菅波の云った言葉を噛み締めて、認識をあらためました。
テレビ番組なんたから、視るのは一度きり。
それで理解できるように作るべき。
――そのように、ワタシは考えません。それこそ「その考え方は古い」「もうそんな時代じゃない」ということです。
本の頁を遡るように、ドラマを何度も視直し、振り返る。その視聴法はホームビデオはもちろん、ネット配信もあるいま、当たり前に可能な環境が整っているのですから。
余談ですが、そんな「おさらい」のお蔭で、物覚えの悪いワタシも、菅波の「サメ好き」に、ちゃんと伏線が張られていることがわかりました。急患で流れてしまいましたが、モネとの初デートで菅波が誘ったのが「サメ展」だったのです。そうでした。「サメグッズ」はちっとも「謎」ではありませんでした。

――74回より。彼の部屋の「なぞのサメグッズ」に触れたおかモネ日記は、上記リンクを参照。
町医者を始めると自分自身の医学はそこで止まる。――昔、医大に進学した知人から聞いたことがあります。
地域医療で「身近な人々」に寄り添うのもいい。けれども、医学をさらに学び、より多くの患者を救うことに貢献したい。そんな、医学者としての菅波=坂口健太郎の志は理解できます。
先輩であり指導者である中村医師の狙いもそこにあったはずです。登米の診療所で、「情」を学ばせたかった。そして、それは見事に成功しました。そこにモネがいた要因は大ですが。しかし、そこで彼を終わらせる気はありませんでした。だから、大学病院に呼び戻したのでしょう。
『ブラックジャックによろしく』(佐藤秀峰)のひと幕を思い出しますね。

――『ブラックジャックによろしく』3巻より
全国区のキャスターになりながら、地元愛のために困難な気仙沼ローカル気象予報士の道をゆくモネ=清原果耶とは、およそ逆位相の志によって、再びふたりは居住地逆転の遠距離恋愛に。
りょーちん=永瀬廉と未知=蒔田彩珠は感じ良さげに距離を縮めつつも、まだまだその関係は微妙。そこへモネが戻ってきて、ますますややこしいことになりそうな雲行きです。
「地元のために、働きたかった?」――そう訊かれてうなづくと、ビシャリとこう云われてしまいます。
ごめん、きれいごどにしか聞こえないわ。

――98回より
いよいよタイトルそのままに、島に帰ってきました。ついに出ました、亜哉子お母さん=鈴木京香のこの科白。
おかえり、モネ。
――97回より
ここが主人公の終着点なのでしょうか……?
仕事上の「私」と「公」の間で揺れ、悩み、引き裂かれる自身の葛藤。そんなふたりの気持ちをまるでなぞるかのように、ふたりは再び離れ離れになってしまいます。ふたりが公私ともに重なり合える日は、果たして訪れるのでしょうか……?
残り僅かとなったこれからの展開を見守りたいと思います。



