今回から、「ルーナ」や「サンボ」の出てくる幻魔大戦第一作を「少年マガジン掲載版『幻魔大戦』」(略称、マガジン版『幻魔大戦』)に呼称をあらためたいと思います。以前の連載分についても、一本にまとめて発表する際には変更します。
理由は、石ノ森章太郎単独によるリュウ掲載版『幻魔大戦』(略称、リュウ版『幻魔大戦』)と区別するためです。「漫画『幻魔大戦』」と云ってしまうと、どちらもそうですからね。平井和正の文脈だけで語るぶんには、漫画『幻魔大戦』、小説『幻魔大戦』と云ってりゃよかったんですが、この読書日記ではリュウ版『幻魔大戦』も重要なパートとして、深く関わってきますのでね。

すべての幻魔シリーズを初出媒体で呼んでみるのも、面白いかもしれません。
・新幻魔大戦 → SFマガジン版『幻魔大戦』

・小説幻魔大戦 → 野性時代版『幻魔大戦』
・真幻魔大戦(第一部・第二部) → SFアドベンチャー版『幻魔大戦』
・真幻魔大戦(第三部)・ハルマゲドンの少女 → 平井和正の幻魔宇宙版『幻魔大戦』
・ハルマゲドン → 徳間愛蔵版書き下ろし『幻魔大戦』
・幻魔大戦deep → ケータイ小説版『幻魔大戦』
・幻魔大戦deepトルテック → インディーズ版『幻魔大戦』


以上、余談兼小ネタでした。
リュウ版『幻魔大戦』に触れる部分を発表するまでには、マガジン版『幻魔大戦』、リュウ版『幻魔大戦』の読書日記発表に漕ぎ着けたいものです。

この連載も4回目になります>早ッ。歳のせいか、時間の経つのが本当に早くなりました。ヒマとか、退屈とか、それこそ感じるヒマもありません。時間なんて潰そうと思えば、いくらでも潰せますし、実際潰れています。残り少ない人生、一瞬一瞬を大切に使わないといけませんね。
今回も短いですが、時間かせぎと思って何卒ご容赦の程を。


■“絵”で考える幻魔シリーズの質的変遷

幻魔シリーズの「質」の移り変わりは、(主たる)パートナーを務めた絵師とセットで考えるとわかりやすいと思います。年代は初出時、掲載誌の月号、書籍の奥付に依拠しています。

・第一次幻魔大戦(マガジン版幻魔大戦/新幻魔大戦)
 1967~1974年
⇒石ノ森章太郎

・第二次幻魔大戦(小説幻魔大戦/真幻魔大戦/ハルマゲドンの少女/ハルマゲドン)
 1979~1987年
⇒生頼範義

・第三次幻魔大戦(その日の午後、砲台山で/幻魔大戦deep/幻魔大戦deep トルテック)
 2004~2008年
⇒泉谷あゆみ

漫画が漫画家とパートナーなのは当たり前、生頼範義と泉谷あゆみにしても、たまたま執筆時期のイラストパートナーが彼・彼女であったというだけの話です。でも、それぞれの作品の質の隔たりを、石ノ森章太郎と生頼範義のギャップ、生頼範義と泉谷あゆみのギャップ、というように考えると、不思議にしっくりくるように思えるのですね。
それは作品(作家)には、自ずとそれに似合うイラスト(イラストレーター)が選ばれるという、単なる必然と云ってしまえばそれまでですが。あるいはイラスト(イラストレーター)が、作品(作家)に影響を及ぼす、なんてこともあるのでしょうか。

とまれ、『幻魔大戦 Rebirth』は、漫画という形式も含めて、作品の「質」を第一次幻魔大戦に戻しました。そこに回帰することが、真の完結に向かう必要な道すじであったのだと、いまでは思います。

次回 待望の「本線」開通

 

2022/01/18 一部変更