「続く」なーんて書いちゃって、またいつものように続き書けないんじゃないの??
・・・と思っていた方、お待たせしました!いや、待ってた方いらっしゃらないかもですけど、最近、アルバムレビュー的な記事を書くには、入念な準備と多大な労力と細心の注意が必要だと思うようになりまして。
以前は、「この曲がすごくいい」「この曲はとにかくスゴイ」「とにかく切ない雰囲気がいい」・・・といったフレーズの使い回しというか、自分の好きな曲を取り上げるだけで満足でした。

が、最近、ちょっとアクセスが増え始め、人様の目に触れることを意識し出すと、自分に音楽的語彙のなさが余りにもないことによって、その大好きな曲がいかに素晴らしいかということを伝えきれず、先人達が書き残して行った素晴らしいレビューを汚してしまうかのような、そんな気持ちにさせられるようになり・・・

例えばこのジャドーズの「DUMPO」ですが、このアルバムについて知りたいなと思えば、それはもう既に、音楽マニアな方の完璧なアルバムレビューがあるわけです。私もかつてそれを読んで、猛烈に感動したものです。
ところがいざ自分が、それを書くとなると・・・何しろ私、音楽といえば「角松敏生とその仲間たち」だけ=「角松敏生」「角松プロデュース作品」「角松バンドの作品」「角松がリスペクトするミュージシャンの作品」「角松がラジオでかけてた作品」だけしか聞いたことがないもので。
勿論、それ「だけ」ってことはないですけど、10代の頃はもっと色々沢山、幅広いジャンルの音楽を聴きまくっていましたが、所詮、それだけなので。
ですから例えば、きちんとしたレビューを書かれる方の「ここで当時流行のドラムンベースを使用することで音に重厚感が」なんて表現に出会うと、自分にいかに伝える術がないか、を思い知らされるわけです。

そんなわけで、書きたい!書けない!、伝えたい!伝えきれない!ジレンマにひとり悶えており、ようやく意を決して稚拙なレビュー的なものを書き残す覚悟を決めました。


$あるがままに・・・



先日の角松さんホテルライブでは、大音量でフロアに鳴り響くジャドーズのナンバーに震えましたね。左から、ホテルライブでもDJ参加のリーダー・島村幸男、ボーカルで現・ダンス☆マンの藤沢秀樹、キーボード担当で現在も音楽プロデューサーとしてバリバリ活躍中の平間あきひこ、“伝田バラード”と銘打たれる程のバラードの名手・伝田一正、そしてジャドーズワールドのほぼ全作詞担当・パーカッション斉藤謙策。

皆さん、若くて・・・可愛いぃぃ~ですねぇ!
当時は、会ったら何されるか分からないちょっと怖いお兄さんってイメージでしたが、可愛いとか言っちゃうってことは、私も年取ったなぁ。

今、数十年ぶりに思い出したんですが、この頃、某お見合いパーティに仕方なく参加したことがあったんです。男性はドクター限定・女性は出身校限定という、今で言うところのセレブ気取り限定?のふざけたパーティでした。
そしたら、20代前半の若い女性というのが私たちくらいしかいなかったので、人生最初で最後のハイパーモテ状態に陥りまして。私の目の前に、殿方の名刺があれよあれよと積まれて行ったのです。残念ながらイノセントだった私はこれを喜ぶ余裕がなく、ひたすら怯えてました(なんという勿体ないことを・・・ショック!)。

そんな中、若手サラリーマンコンビがもぐりこんでまして、「なんか若くて普通の人達って俺たちだけですね」みたいなノリで、意気投合したわけです。そのうちの一人の男の子が、このジャケットの平間あきひこさんそっくりだったのです。
「必ず連絡するから」と約束し、もらった名刺を握りしめて門限10時の私は後ろ髪引かれる思いで会場を後に・・・私の連絡先は教えられないので、いつか頃合いを見計らって連絡しようと思っていた矢先、名刺の入った財布を盗まれてしまい、平間あきひこ似クンとは、永遠に会えなくなってしまったのでした。

あ~、可愛かったなぁ、あの子!←最早完全にオバサン目線


$あるがままに・・・


なんで「何されるか分からないちょっと怖いお兄さん」なのかといえば多分、デビューアルバムの「IKASUMAN」がトラウマになってるからじゃないかと・・・冒頭いきなり、「若い女性が、複数の男から笑いながら追いかけられ、助けを求めた筈のIKASUMANが突然狼に変貌し、女性の悲鳴が・・・」ですもん。
このアルバムの帯を見て下さい。「強くさせオンナの願い」って・・・意味は何となく分かりますが、相変わらず軟派な下ネタコンセプトです。
あ、当時私はこうして、頑張ってCDアルバムの「帯」をとっておく癖がありまして。
こんな風にボロボロに切れてしまうんですが、その度にテープで貼って、とっときましたねぇ。
意外とレアな情報が残ってるんですよ、「帯」には。

で、「DUMPO」とは、どうやら「男宝」らしく、曲のラップでも「KA,KA,KA,漢方秘薬」とか言わせてるので、今で言えば中国系バイ○グラみたいなものかと。
そんなジャドーズらしいおふざけは健在である一方、このアルバムはなぜか全体的に、悲壮感を感じます。


まず1曲目。

1 STEP INTO THE CITY LIGHT (Extended Re-Mix Special Edition)

これは本来は、「SUMMER LADY」や「ALL MY DREAM」といった、アルバムの冒頭1曲目を飾る爽やかでアップテンポのキャッチーなメロディである筈なんでしょうけれど、前編バックで、誰かが(斉藤さん?)雄叫びをあげているのが耳障りというか、曲を全く違う印象のものに変えてしまっています。
最初は「なんじゃこりゃ」と思ったものですが、慣れてくると不思議と曲に合っているような気がしてきて、
更に、この雄叫びが、吹きすさぶ冷たい冬の風のように思えて、アルバムの印象をのっけから「今までのような爽やかだけじゃない1曲目」として覆し、決定づけているような気がします。
エディットが、当時角松の楽曲でもバンバン使われていたCAMU SPIRITS。CAMU SPIRITS独特の感じが角松っぽいようでいて、全然角松っぽくなっていないのが不思議です。


2 Living in the night (Album Version)

前作「a lie」の2曲目「Have A Party In Your Life」に相当する曲です。
曲の内容は同じなんですが、これまた全然、印象が異なる。「Have A Party In Your Life」が、華やかな真夏のパーティに聞こえるのに対し、こちらは寒いのを我慢してテラスでやせ我慢、なんとかギリギリ盛り上がってるパーティという感じがします。


3 Simply Another Love

アルバム全体の印象を決める曲だと思いますが、全編ボーカルがファルセットで、しかも物凄く憂鬱です。メランコリーの永久ループ、と私は呼んでいます。
割り切った関係のはずがいつしか本気になってしまいそうな男女の閉塞感を、歌詞・曲・歌い方・アレンジ全てに於いて見事に表現しきった名作だと思います。





前回、このアルバムは「角松から独り立ちした初のセルフプロデュースアルバム」とか書いた記憶がありますが、これは正確には大間違いでした。一応、プロデューサーの中に角松敏生の名前はあります。確か、BICの会報でのこのアルバム紹介で「もう・・・やつらの事は知らん!勝手にやっていてくれ」(愛情を込めて、もう勝手にやらせてもいい頃だという意味で)的な角松さんのコメントがあったんですね、その記憶が、イコール独り立ちと思い込んでしまったようです。
実際、角松さんが関わった部分はぐっと少なくなっている筈ですけど、この曲なんか、すっかりジャドーズワールドを確立した感が強くなっていると思います。


$あるがままに・・・


・・・だってね、ほら、前作「a lie」の帯には、しっかり「角松敏生プロデュース」ってあるじゃないですか。セロテープが痛々しくて見えにくいですね。済みません。
だから、今回のアルバムからは事実上、独り立ちしていたと思うわけです。


(後編に続く→こちら