電話で思い出す | かのっちのブログ

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エッセイのように、散文のように

 先日ラジオ聴いていると話のテーマが「電話」であった。そこで思い出すことを書いてみる。

 子どもの頃に家に入った「電話」は有線であった。有線電話と言っていたような気がする。地域の間だけでつながるような電話だったと記憶している。

 この有線電話からはいろいろな地域情報が流れてきた。農協からの連絡や案内、地域の情報、霜注意報などの知らせも流れてきたと思う。そんな地域のネットワークであった。加えて、中学校のお知らせも流れていた。私の同期のサッカー部が、秋田代表と戦って全国大会への切符を競う西奥羽大会で敗れたことを伝えたのも有線放送だった。あるいは中学校での合唱コンクールの様子を英語の後藤先生のナレーションで流れてきたのも有線放送だった。クラスで歌ったビゼーの「小さな木の実」を有線電話の前で「いいな〜」と思いながら聴いていたものである。しっかり聞き耳を立てないと聞き逃してしまいそうになるところが、当時のアナログ感がありよかった気もする。

 中学3年の頃には、家には有線電話と固定電話が入っていた。県立高校の受験に向かって、勉強が続き、苦しくなってくると遊びたくなる年頃でもある。学校で「11時に電話するから」と約束して、11時前には電話の前に座り、ベルが1回鳴ったらすぐに受話器を取り、長々とどうでもいいようなことを話すのも楽しみだった。そんなある時、まだ有線電話しかない友だちと固定電話の友だちをつなぐことになった。二人の友人は私の家に有線電話と固定電話で電話をかけ、私が二つの受話器を逆さまにして二人の会話をつないだのである。アホなことをしていた。けど、そんなことが一つの楽しみでもあったし、受験勉強の気休めにもなったのである。勉強よりもそんなことが思い出される。

 今は有線電話はない。町の情報も、中学校の情報も流れてこない。それもまた淋しい気もする。