そうして面接も終了し、一週間ほどで採用との連絡を受けた僕はその出版社に就職することに決め、入社の日を迎えた。初出社ということで珍しく白いワイシャツを着込み、約束の時間の30分前に会社に到着すると、確かに面接を受けたはずの会社の入口がみあたらない。階を間違えたかと思い確認してもこの階であっている。どうしたものかかなり焦り、しばらく外に出たり付近をうろうろして時間を潰しているとどうもその会社の社員らしい女性が出社し、会社の入口ドアの前にあった分厚い白いシャッターを開けてくれた。入口は暗証番号プラス鍵で開ける分厚いガラスドアで、社内も擦りガラスのため内部は透けて見えない。これだったら紛らわしいのでシャッターはしなくてもいいのにと思いながら、シャッターを開けてくれた女性と慌ただしくも初対面の挨拶を交わした。この女性は兼戸さんというらしい。