(前回からのつづき)
景色を楽しみながら、ガツガツ登る。
そんな時間がしばらく続く。
ペースは概ねキロ20分前後。緩やかなところは走る。
やがて前方に山小屋が見えてきた。
エイドである(26.8㎞地点)
到着時刻は午後2時30分頃。この区間のタイムは3時間20分。
ほぼ予定どおりにきている。
ただ思ったよりも余裕がない。
それなりに疲れてきた。
なので、このエイドでは10分ほど休憩。
山小屋でビールを買って飲んでいる選手もいる。
「さすがにそれはできないな…」
「さて、山頂に向かって行きますか」
山頂近くにある次のエイドまで約5㎞。標高差は800m以上。
途中からは岩場となる。
ヨーロッパアルプスの風景が広がる。どこか懐かしさを感じる。
「コルを目指すこの感じ、思い出すなぁ」
前腿がピクピクしてきた。
前半走ったからか?それともこの急登の影響か?
「まぁ、どちらにしても練習不足なのはあきらか」
途中、休みながらなんとかコルに到着。
そこから山頂はすぐ近くだった。
そこからの景色は素晴らしかった。
座り込んでしばし眺めていた。
エイドに到着(31.7㎞地点)
ここで計画よりも遅くなる。
登りで巻き返すどころか遅くなってしまった。
「う~ん、次の関門時間に間に合うか?」
次のエイドまで12.1㎞。2時間30分しかない。
キロ12分20秒ほどのペースで行く必要がある。
ここから下り基調とはいえ、ちょっと厳しい。
とりあえずエイドアウト。
すぐそのあとの急な下りで足が攣った。
「マジか?」
これはもう治まるのを待つしかない。
水分を補給してしばらくは騙し騙し歩く。
うしろからどんどんと抜かされていく。
何人からは「ここから走っていかないとCut Offされるぞ」と言われる。
「それは分かっているんだけどね…」
半分開き直って残りのレースを楽しむことにした。
「あとエイドまでどのくらいか? ひょっとしたら間に合うのか?」
そう思うも途中で制限時間の10時間30分(午後7時30分)が過ぎた。
結局エイドに着いたのはそこから20分ぐらいしてからだった。
関門エイド(43.8㎞地点)
エイドテントの中にはそれなりの数の選手たちがいた。
「みんな関門にひっかかったんだな…」
温かいスープをもらい、スタッフにちょっと聞いてみた。
「ここでのCut Offはなし。先に進めるよ👍」
予想外の返事に頭が混乱した。
(つづく)
動画「Julian Alps Trail Run by UTMB 2025」公開
YouTubeチャンネル:としの山行記











