狼少年ケンのブログ

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イキウメ『MISSION』ABCホール(3日)

今年発表の第19回読売演劇大賞で、大賞と最優秀演出家賞を受賞した前川知大(ともひろ)。同大賞で新人に贈られる杉村春子賞に輝いた小川絵梨子が演出を行う清新な顔合わせ。

ある家族が叔父さんという異物によってバランスを崩し、異なる配置でバランスを取り戻す、という話です。叔父さんの思想がキモになっています。
叔父さんには大きな使命がある。それは「世界のバランス」を取っているというものです。

事件が起きないので自分が何から誰を救ったのかも分からない。
全く結果の見えないことを、使命感を持ってやり続けることはできるのか、というのもテーマの一つで、これは信じることや、信仰に関わることです。

人間の行動を3種類に分けるとすると、自分の意思によるものと、他人の命令によるもの。それらは「やろう」とか「やらなくちゃ」という意思になる。
もう一つは、意思できない衝動というもの。衝動は意思できません。で、衝動には二種類の気付き方があると思います。やってしまった後気付く、やる前に抵抗を感じてやめる。
「やってしまった」「やらなくてよかった」という気付きですね。
意思を自分の声、命令を他人の声とすると、ではこの「衝動」は誰の声なのか。
これを登場人物の叔父さんは、世界の「呼びかけ」と言います。
この呼びかけに従うことが叔父さんの使命の実行です。

傍からみるとぶらぶら歩いて変な動きをしているだけ。ただの暇人です。
意味が無いからやめろと周囲から言われても、叔父さんはやめません。
叔父さんは世界に責任があると言うんです。
この過剰な責任感がテーマで、俺がどうにかするんだ、被害者にはならないぜってのが、周囲を変えていくんですね。

観客もサポーターもいなくても、サッカーの試合はできます。
でもサポーターの応援は確実に選手のパフォーマンスを高めます。
その応援の効果は数値化できないものですが、意味が無いと否定する人はいないでしょう。叔父さんは世界のサポーターです。

俺がいつでも見ているぜ、というのを世界に示す為に、呼びかけがいかに無意味でも、応えなくてはならないのです。不毛なようでいて、とてもポジティブなメッセージです。世界は俺に関係ない、と思うか、関係あると思うかで、行動の基準が変わってくるでしょう。
叔父さんは専業主夫です、叔父さんはハウスキープするところを、自分の家から世界に広げているんです。(劇団ブログより)
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斜面から転がった石が頭に当たった。入院したが異常はなかった。なぜ?私に?これに意味はあるのか?会社に戻ると居場所はなかった。そして叔父さんに引き付けられた。

子供の頃、入院中のお母さんに「おやすみ」を言って寝る習慣だった。ある日「おやすみ」を忘れた翌日、母が亡くなった。僕のせいだ!

窓から何気なく手を振った。それを運転中見て事故にあった女性。「あなたのせいだ!」

無意味な衝動、どうでもいいことに「世界からの呼び声」がある。
それはしないといけない!重要な意味が隠されているのだ!

前川さんの不思議ワールドモバQ落としどころが難しい脚本だと思ったうまい!

叔父さんの安井さんは、やはり素敵でしびれる声exclamation
伊勢さんの出番は少なかったバッド(下向き矢印)