<次郎長一家の玄関先>
 黒駒の勝蔵の使いである柴田さんが玄関でうろうろしています。
 
 「黒駒一家の小岩と申しやす。」
 「こいわ、新小岩から?」・・・・鬼吉
 はじめてのおつかい、ごくろうさん」・・・・次郎長
 
 「ちょっと待って」と言って親分と相談するなどして、
 なかなか受け取らない。
 受け取ったはいいが、渡さずに
 「かわりに読んだげましょうか?
 
 「だいたいわかりました。とっとと帰ってくんな
 「何か忘れ物はねえですか?」
 「何にもないよ
 「本当にないんですか?」
 「1回言ったらわかるだろう。ねえって言ってるだろう

 「親分、あいつばかですね」
 「馬鹿を承知でなった稼業、馬鹿でなくちゃあ男になれねえ」
 と親分が言った言葉が気に入って、いつもは2回
 楽日には3回同じセリフを言ったのち
 「そこへいくとおれなんか男の中の男だなあ」と自画自賛

 小政がそばで聞いているのに気が付いて
 「誰かほうきもってこい、ほこりが・・・・」