5月28日(日) 日生劇場 NISSAY OPERA 2023
ルイージ・ケルビーニ/オペラ 『メデア』 全3幕
台本:フランソワ=ブノワ・オフマン
原作:ピエール・コルネイユ(悲劇「メデ」)、エウリピデス(悲劇「メデイア」)
指揮:園田隆一郎
演出:栗山民也
美術:二村周作
衣裳:前田文子
照明:勝柴次朗
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
合唱:C.ヴィレッジシンガーズ
《キャスト》
メデア/中村真紀
ジャゾーネ/城 宏憲
グラウチェ/横前奈緒
ネリス/山下牧子
クレオンテ/デニス・ビシュニャ
まず、ケルビーニの音楽があまりに劇的でびっくり
特に長大なフィナーレは激烈
ベートーヴェンのフィデリオが初演されるより8年前の1797年の初演
その時代にこんな作品が他にあったとはオペラの世界は深い
公演内容では、園田指揮の新日本フィルが素晴らしかった
どすの効いたコントラバス、悲鳴を上げるクラリネット
轟くティンパニ、叫びまくるピッコロ
パンチの効いた演奏で劇的な音楽をより劇的に描いていた
タイトルロールの中村真紀は絶唱型、メデアを歌うには合うタイプ
ほぼ歌いっぱなしの3幕でも終盤に向け高揚して行く強靭さが素晴らしかった
ラストの場面は怖すぎて背筋が凍る
これ、もう一回見るのは当分いいかも、と思ったくらい
よくできた演出、美術にも満足
*
このお話、もともとギリシア神話
そこからメデアの悲劇の部分を切り取ったものとのこと
許嫁とその父、自分の子まで殺されるジャゾーネは悲劇の英雄
という筋書きに見えるが、神話の前段の部分は全く違う話し
王になるためメデアを利用し、王にはなれないとなるとメデアを盾に逃げ
逃げた先の国の王女を娶ろうとする、というところがこのオペラの始まり
本物の悪者でだめ男はジャゾーネの方・・・
という説を休憩中のロビーで小耳にはさみ、ふむふむと思った
ケルビーニ/歌劇『メデア』より 序曲
ベアトリーチェ・ベネツィ(指揮), ハイドン管弦楽団