2月18日(日) サントリーホール

【第707回 定期演奏会】

 

原田慶太楼(指揮)

アレクサンダー・ガヴリリュク(ピアノ)

東京交響楽団

 

小田実結子/Kaleidoscope of Tokyo(委嘱新作)

 

グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16 †

 ⅰ. Allegro molto moderato

 ⅱ. Adagio

 ⅲ. Allegro moderato molto e marcato

(アンコール)

ショパン/夜想曲第8番 Op.27-2

 

菅野祐悟/交響曲第2番 “Alles ist Architektur"-すべては建築である

-すべては建築である(ハンス・ホライン)

 ⅰ. -建築の偉大な美しさの一つは、毎回人生が再び始まるような気持ちになれることだ (レンゾ・ピアノ)

 ⅱ. -建築とは光を操ること。彫刻とは光と遊ぶことだ (アントニ・ガウディ)

 ⅲ. -建築は光のもとで繰り広げられる、巧みで正確で壮麗なボリュームの戯れである (ル・コルビュジエ)

 ⅳ. -可能性を超えたものが、人の心に残る (安藤忠雄)

 

 

菅野祐悟の交響曲第2番(2019年初演)は今回が東京初披露

 

聴いてみてまず思ったのは、曲名、楽章のタイトルはやり過ぎ

 

交響曲だから、あえて哲学的な印象を与えたかったのか

 

建築を学んだものなら分かり切っているこの建築家たちの建築、思想

 

そういうものが音楽に投影されている訳ではないから

 

建築的なるものを想像し、期待して聴きに行くと期待外れに終わってしまう

 

細部のち密さによって構築されるところが建築と音楽に共通する

 

パンフにあった対談記事では菅野自身はそう言っている

 

 

実際のところテーマは 1楽章が“イタリア”、2楽章が“スペイン”

 

3楽章は何だかさっぱり分からなくて、4楽章は“光”

 

しかし、安藤忠雄の「光」は「影」があってこその光

 

厳格に建築的な操作によって造り出され、輪郭にあいまいさはない

 

菅野が生み出した音楽のイメージは空間一杯に放たれる光彩

 

全く違うものだった

 

音楽的にそこそこ充足感が得られたのは1楽章くらいかな、というのが正直な感想

 

これなら、サクソフォン協奏曲(2021年初演)の方がずっと良かった

 

そのサクソフォン協奏曲は来月、日フィルの横浜定期で再演される

 

 

小田実結子の新作はなかなか面白く、バランス感覚の良い作曲家だと思った

 

ただ、今回の“東京”という題材ではややとりとめがなかったかなという印象

 

与えられたテーマという訳ではなく、自分で思いついたとのことだけど

 

この並びで何でグリーグなの?、と違和感あり過ぎ

 

もっとも、前半だけ聴いて帰っちゃった人は結構いたみたい

 

ガヴリリュクのピアノは力一杯弾いているだけで、全然いいと思わなかった

 

コンサートマスターは今期限りで退団する、水谷晃

 

 

 

菅野祐悟/交響曲第2番 より 第1楽章

藤岡幸夫(指揮)

関西フィルハーモニー管弦楽団, 2019年録音