おじさんが蕎麦を打ち、おばさんが接客を担当する小さなお蕎麦屋さんで、

「このお蕎麦、美味しいね~。天ぷらもカラッとしてて美味しいね~。
 お塩でも食べれたらもっといいね~」

などと言いながら、配偶者と天ざるを食べていたら、
欧米系の男性2人が入店してきました。
男性達はしばらくメニュー(英語表記あり)を眺めていましたが、
注文する際は、私が食べているものを指さして、「あれ、何?」。
そして、「シュリンプの天ざるだ」と説明されると、
2人とも天ざるを注文していました。
しばらくして、配偶者が、

「あっちのテーブル(欧米系男性2人の席)には塩置いてあるんか?
 なんかパラパラふってたみたいやぞ」

というので、2人に目をやったところ、2人は右手に持ったお箸でそばをつまみ、
クレーンゲームのごとき慎重さで、
そばつゆの入った器までお蕎麦を運んでいる最中でした。
器に至るまでの間に、掴んだお蕎麦は次々と落下していき、
器に辿り着いた時には、お蕎麦は2、3本ぐらいになったのですが、
その2,3本を労うかのような面持ちでゆっくりそばつゆに浸していき、
身体を前かがみにしたかと思うと、お蕎麦を口に運び入れました。
その動作は、何か神聖な儀式、もしくは修行のようにも見えました。

あんな体の大きい人が2,3本ずつしか食べれないだなんて、
とんでもなくストレスフルな食事に違いない。
ここは日本です。器を手に持って食べても大丈夫です。
どうか空いている左手でそばつゆの器を持ってお召し上がりください。
多少食べやすくなると思いますよ…、

と思い、彼らの左手に目をやると、彼らの左手は海老天をつまんでいました。

左手、空いてなかった。。。

配偶者が「塩をパラパラふっていた」と見えたのは、
彼らが指に付いた天ぷらの衣をお蕎麦の上で落としていたものと思われます、たぶん。


  ※ ‟たまご専門 本巣ヱ(モトスエ)”の濃厚たまごパン。
    パンというよりも、伊達巻みたいな感じでした。