下校中の高校生で混み合う電車に乗りました。
私の近くには、タブレット画面に数式をさくさく書き込んでいる子や、
使い込んだテキストのページ上に赤いフィルムシートを滑らせ、
「ただいま英語慣用句を暗記中」
といった子などがいて、感心するとともに、

「あぁ、学生らしいなぁ。
 私もこれぐらい熱心な高校生であるべきやったな。
 みんな、親御さんは喜んでいるぞ。がんばれ」

という気持ちになっていました。
そんな中、忙しなくスマホを操作している女子高生がいて、
その画面をちらりと見ると、目まぐるしく男性アイドルの画像が流れていました。

「これはこれで学生らしくてかわいい。
 名前はわからんアイドルやけど、親近感覚えるぞ」

と思っていると、彼女は降車駅が近づいたようで、スマホ操作を止め、
肩にかけた鞄を持ち直したりし始めました。
手はスマホを握りしめたままだったので、スマホ画面が見えたのですが、
画面はアプリアイコンがいくつも並ぶ、待ち受け画面になっていて、
アイコンの背景には、白髪のハリソン・フォードがいました。

「えぇっ、さっきまでキッラキラのアイドル見てはったのに!?」

と、意表を突く画像にウケました。ますます親近感覚えるぞ。
何なん、心が安らぐ顔なん?


  ※ ‟仙太郎”の水羊羹。