かつて、BOOGIEとスライドギターでやたらと吠えまくる男がいた

その男は猟犬と呼ばれ、相棒の男ふたりを引き連れ夜な夜な縦横無尽に好き放題、夜明けをトランス状態に巻き込み、酔わせ、ふらふらの朝が目を覚ますまで、ひたすらにBOOGIEの連続トルネードを上機嫌に笑いながら渦まかせていたという


その男が病で亡くなって、すでに30年以上
今夜、目の前で上機嫌に笑うひとりの男がいる
そして彼は、どこからどう見ても、その男に似ていたのだった



―それにしてもな、サディが家を出ていっちまったってわけさぁ
なああんちゃん、聞いてるかい?
まったくどういう訳だろなあ
悲しいったらありゃしないのさ、ハッハッハッ

―そのわりには随分上機嫌じゃないか
それは、あんたの奥さんかい?

―そんなできた女じゃありゃしないさ
でも、とびきりのいい女だったぜ
見た目だけじゃあなくてさ、気遣いのできる優しいやつだったさ

―十分できた女じゃあないか
そういうとこに、きっとあんた甘えてたんじゃないかい?
甘えて、自由に生きすぎた

―そりゃあ毎晩クラブで演奏して、そのへんはかまわず勝手にやってたけどなぁ
でも俺はいっぱい彼女を愛してたよ
俺のスライドが唸るように、いつでもサディへの愛は燃えていたんだぜっ
だからさ、まいったね
こういうのはさ、完全にまいるね

―・・・あんた、、もしかして、やっぱりあれかい、BOOGIEの猟犬・・


―昨日はさ、もう淋しくてたまんなかったからよ、歯でギター弾くあいつとセッションしてきたよ
やつぁ最後にゃギターに火つけて遊んでやがった
まったくファンキーな男だったよ
そしたら変態的なドラム叩くあいつもやってきてさ、もうクレイジージャムよ
愉快なやつらだったな
じゃじゃ馬娘のあいつもいてな、サザン・カンフォート片手にいかしたブルースパーティーさ
淋しくても、こんな風に今でもずっとツアーみたいなもんで、色んな仲間がいるからな、上機嫌にもなれるってもんなんだな




かつてのあの男は、すでに30年以上も前に亡くなった

どう見ても似ているその男は、そろそろ次のクラブに出かけると言い残し、土産に一枚のアルバムを置いていった
その中には、一枚の肖像画が同封されていた

稟とした佇まい
静なる猟犬の一瞬

きっとこの先も
ずっとどこかで
トルネードは鳴り止まない

彼が彼であった確信の証拠は
その肖像画と
去り際の一言



レッツゲットファンキー!!!



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tonight song:
『Sadie/Let's Get Funky~HOUND DOG TAYLOR & THE HOUSEROCKERS “THE BEST & UNRELEASED”』