山口県防府で生まれ、松山で亡くなった放浪の俳人、種田山頭火。彼の自由律俳句(五七五の定型にとらわれない俳句)のいくつかを紹介しよう。

 

 

うしろすがたの しぐれてゆくか

お地蔵さんも わたしもずぶぬれ

今日の道の たんぽぽ咲いた

分け入っても 分け入っても 青い山

鈴をふりふり お四国の土になるべく

 

 

山頭火は1939年にふらりと松山にやってきて、粗末な納屋を「一草庵」と名付けて住み着いた。わずか2年、1940年に旅立った。享年59歳だった。

 

 

僕の伊予路の旅、松山ゆかりの文人3人、山頭火、夏目漱石、正岡子規ゆかりの地を訪ねるつもり。まず一草庵がターゲットだ。

 

 

東横イン最寄りの勝山町電停から路面電車に乗り、約5分で赤十字病院前電停へ。道に迷いながら徒歩で約10分、一草庵にたどり着いた。

 

 

「ほほう、大きな家じゃないか」と思ったら、一草庵はその奥にある小さな家だった。2009年に再現されたものだが、当時の雰囲気は感じられる。

 

 

6畳と4畳半、キッチン。今風にいうと2K。広くはないが、一人暮らしなら十分だろう。貴重な資料に見入っていると、管理人が近寄ってきた。

 

 

「山頭火は雨の日も雪の日も徒歩で道後温泉に通っていたんですよ」。たぶん片道20分はかかるだろう。よほど温泉が気に入ったのか。

 

 

そんな山頭火に思いを馳せ、僕も一句。「山頭火 木枯らしなんの 温泉通い」。う~ん、自由律じゃないよ。山頭火さんゴメンなさい。