■6月17日(火)天気予報=曇り
気ままな台湾の日々、残り2日半になった。
あさって19日午後、僕は帰路に就かねばならない。
雲はかかっていたが、南の涯は制覇した。今日は北の涯を巡ろう。
ルートは2つ。
一つはバスで登麗君の墓がある金山へ向かい、そこから東周りに北の涯を巡る。
もう一つは港町・基隆を起点に金山、野柳、九份へ足を伸ばすルート。
僕は台鐵に乗りたいので、2つ目のルートで旅することにした。
台鐵(台湾鐵路管理局)は、台湾をぐるっと一巡りしている国営鉄道。
ちなみに高鐵(新幹線)は民間企業が経営している。
天気予報は曇りだが、雨が降らなければ「よし」としよう。
午前8時半、僕は台北発の普通列車に乗り込む。
基隆車站まで片道41元(143円)だ。
ラッシュアワーのはずだが車内はガランガラン。
通勤・通学とは逆の方向になるからか。
台北市街地では地下を走る列車。
8時44分、台北から三つめの駅、汐科駅手前で地上に出た。
MRT(地下鉄)は一切の飲食が禁止されているが、台鐵はOKだ。
通話もOK。マナーモードにしていないので、呼び出し音がガンガン鳴り渡る。
ボックス席に一人座っていた中年のおっさん、向かい側の席に足を投げ出していた。
巡回にやって来た車掌、厳しい口調でおっさんに話しかけた。
渋々、足をおろしたおっさん。
9時14分、列車は基隆(キールン)に到着した。
台湾最北の港町。日本統治期には石炭の積み出し港として栄えた。
現在は沖縄へ定期フェリーが発着している。
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しかし駅舎は粗末な平屋。ホームの数も少ない。
今も貿易・物流の重要拠点だが、うら寂しさは隠せない。
それでも駅構内にセブンイレブンがあるのがいい。
朝飯にしよう。僕は駅前ロータリーに面した小さな食堂へ。
店内も店外もごちゃごちゃ。日本人的には清潔さとは無縁だが、安くて美味しいはず。
僕が食べたかったのは大腸麵線(ダーチャンミェンシェン)。
1杯35元(122円)。ほら、安いでしょ。
台湾の小吃(シャオチー)、臭豆腐と並んで臭さを誇るのが大腸麺線だ。
麺線は日本でいうそうめん。豚の大腸と一緒に、とろみのついたスープで煮込んだもの。
おろしニンニクもたっぷり。まさに臭さ×2。
ホルモンが苦手な僕だが、スープも飲み干した。
病みつきになりそうな小吃だ(小吃=軽めの一品料理)。
お腹も充ちた。まず登麗君の墓参りだ。
登麗君=テレサ・テンは台湾生まれ、タイ・チェンマイで亡くなった。