ビエンチャンの朝は静かに明ける。

日中の交通ラッシュが嘘のように、車もバイクも少ない。

大通りから1本入った路地に面したこのホテルには車のエンジン音も届かない。


T上司ランチ漫遊

ふだんは朝寝坊な僕だが、
午前7時きっかりに4階の自室から1階へ降りる。
オープンエアのレストランで朝食を食べるためだ。なぜ7時きっかりなのか。


7時10分にパン屋のおねえさんがバイクで焼きたてパンを届けてくれるからだ。
彼女は律儀だ。パンの配達が1分早いことも、1分遅れることもない。
彼女はすごく正確な時計を持っているに違いない。


T上司ランチ漫遊 T上司ランチ漫遊 T上司ランチ漫遊

コーヒーを飲みながら、僕は彼女の到着を待つ。 
半分くらい飲み終えたころ、バイクの音がしてパンが届く。 

レストランの女性スタッフがパンケースに並べるのももどかしい。

 

焼きたてバゲットとクロワッサン、それに食パン。

隣国ベトナムもそうだが、仏植民地だったラオスもパンは飛びっきりだ。

フランスは非道い統治を行ったが、パン文化を残したことは評価してもいいだろう。


T上司ランチ漫遊

路地を行き交う人々の素朴な日常を眺めながら、

パンとフライドエッグ(時にはスクランブル、オムレツ)を食べる、たわいもない一時。

こんな時間が僕はたまらなくいとおしい。