リトアニアから陸路ラトビア入り。
バルト三国の旅。5日目にして、ようやく2カ国目となる。
午後7時過ぎ、首都リーガのホテルに着いた。

▼リーガのトラム。午後8時近いのにこの明るさ
T上司ランチ漫遊

いまだ空はダークブルー。
昼間の残照が星の瞬きを邪魔している。
北欧、夜の訪れは遅い。

1人旅なら安い三ツ星ホテルだが、女性同伴の今回は四つ星ホテルをチョイス。
鉄道駅もバスターミナルもすぐ近く。トラム駅はホテルの真ん前にある。
交通の便がいいのが何よりだし、旧市街そばと観光にも便利だ。

このホテル、とってもユニーク。
それは表と裏、二つの顔を持っていることだ。
新市街に面した表側は総ガラス張り、超モダンな装い。

▼景観に配慮。表と裏二つの顔を持つ四つ星ホテル
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ところが裏に回ると、ホテルとも思えないクラシカルな作り。
コストも余計にかかるだろうに、なぜこんな建て方になったのだろうか。
リーガ市民たち、歴史を刻んだ旧市街の景観保持に力を入れているからだ。

スクラップ&ビルドが進む広島の街。
世界遺産・原爆ドームの周りにも現代建築が立ち並ぶ。
街並み保全か開発か。現代人が抱える課題の重さを改めて感じた。

長い移動、お腹はすっからかん。
「ソ連占領時代の耐乏生活を追体験できるレストランがあるよ」
Fちゃんがダウンロードした資料を広げた。

▼ホテルの中は吹き抜け。開放感がいいなあ
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1人旅だと行き当たりばったりでもいいが、グループだとそうもいかない。
Fちゃんのような調べ魔がグループにいると、とってもありがたい。
トラムでも行けるが、疲れもあるのでタクシーで直行だ。

レストランに足を踏み入れて驚いた。
灯りがほとんどない。あまりに薄暗くて、階段を踏み外しそうになった。
「なぜ、こんなに暗いの?」。おじさんウェイターに英語で尋ねた。

「ソ連統治下は冬の時代だった。電気だけじゃなく、食べるものも乏しかった」
しみじみ語るおじさん。「独立して20年、ずいぶん豊かになったもんだ」
おじさんの青春時代は、辛いことが多かったんだろうなあ。

▼薄暗い店内。フラッシュをたくとハレーションを起こした
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耐乏メニュー、一皿目は豆のスープだ。
ラトビアに人に申し訳ないが、はっきり言って不味い。
日本のレストランで出すと、卓袱台返しされそう。

食糧が豊かでなかった時代、水分でボリュームアップしたのか。
敗戦後の日本で人々が食べた水とんのようなものか。
ソ連統治下の厳しさの一端を垣間見た思いだ。

小さなパンが4枚。
前歯が折れそうなほど固い。
たぶんライ麦? 味がしないので、よく分からない。

▼煮豆とヨーグルトドリンク。野菜フェチの女性陣も???
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メーンも豆の料理だ。スープにもメーンにも肉は全く入っていない。
「長くて厳しい冬、荒れた土地で出来るものは豆くらいだった」
おじさんは言葉を詰まらせながら、しみじみと語りかける。

もちろん美味しいはずもない。
それでも残したらラトビアの人に申し訳ない。
ウサギさんFちゃんMちゃんも渋い顔ながらスプーンを口に運んでいる。

空気が重い。
いつもは明るく弾む会話も途切れ途切れ。
ソ連占領下の「冬」を耐え、独立の「春」を勝ち取った人々に思いをはせた。

▼スーパーでビールを買い、ホテル自室でお口直し
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帰路、スーパーに立ち寄る。
新鮮な野菜や果物、食料品や日用品も山と積まれている。
ラトビアの「春」を実感しながら、ホテル自室でビールを飲み干した。

ラトビア(Latvija)>1991年、エストニア、リトアニアともに旧ソ連から独立。2004年にEU加盟。首都リーガ(Riga)。面積6万4589平方メートル(北海道の約8割)。総人口240万人。なおロシア人が3割を占め、民族問題の火種に。通貨はラッツ(Lats)。1ラッツ=130円。

★有害無益のバルト三国クイズ第6回

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商品名「Geisha」。
リトアニア首都ビリニュスのスーパー見つけました。
さて、これは何でしょう。ヒント、食品です。

■第5回解答 18世紀の郵便配達人と馬車でした。