世界遺産バンべルグから一路ミュンヘンへ。
バンべルグ南250キロ、ICE(都市間高速鉄道)で3時間の道のり。
ドイツは鉄道網が網の目のように広がっている。早くて安いのが鉄道の魅力だ。

▼ミュンヘンの四つ星ホテル。シンプルだが機能的
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ミュンヘンで思い出すのが1972年の「黒い九月事件」。
ミュンヘンオリンピック開催中にパレスチナ武装組織「黒い九月」が、
イスラエルチームの選手村を襲撃し11名を殺害した事件だ。

イスラエルは報復として「黒い九月」メンバー多数を暗殺した。
この事件をスティーヴン・スピルバーグ監督が映画化。
2005年に公開された「ミュンヘン」は記憶に新しい。

▼朝食バイキング。パンもハム・ソーセージもチーズも美味い
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宿はミュンヘン中心部に近い四つ星ホテル。
ビュッフェスタイルの朝食、パンもソーセージもチーズも美味しい。
いつもは朝食抜きなのに、外国に出ると食欲旺盛になる。

午前10時、ホテル出発。
気温はマイナス7度。冷たい風が頬に痛い。
時折り雪も舞うが、道路は除雪が行き届いているので支障はない。

▼雪に埋もれたミュンヘン版お地蔵さん。違うかなあ
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まずマリエン広場に面した新市庁舎へ。
1867年から42年かけて建造されたネオゴシック様式の壮麗な建物だ。
塔の高さは85メートル。うれしいことに、この塔に登ることができる。

なぜ人は塔に登りたくなるのか。
征服欲? いやいや、私の場合は「○○の高上がり」かも。
ぐるり360度の絶景を独り占めできるのは快感だ。

▼ネオゴシック様式の壮麗な新市庁舎。この塔に登った
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イタリアではピサの斜塔に登った。
20年前はテラスに手すりがなかった。しまも大理石の床はつるっつる。
足を滑らせると地上へ真っ逆さま。かなり怖かった。それでも登った。

受付嬢(かなり美人)に聞くと、エレベーターがあるという。
往復2.5ユーロ(250円)。もちろん階段を歩いて上がればタダだ。
どうしよう。旅は始まったばかり。体力温存を考え、エレベーターにしようか。

▼塔の最上階。鉄格子がはまっているから落ちる心配はない
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ここでスケベ根性がもくもく。
ほかにお客さんがいないことだし、受付嬢と会話を楽しまなくっちゃ。
「ミュンヘンは美しい街ですね」と話しかけてみた。

「そうでしょ。ドイツ人は景観保護に力を注いでいるから」
暇を持て余しているからか、受付嬢は嫌な素振りは見せない。
「この塔、階段は何段あるんですか?」。これが最悪の質問となった。

▼眼下に広がるミュンヘンの市街地。絶景かな!
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驚いたような表情を見せながら、
「知らないわ、数えたことなんてありません」
そして「あなた、歩いて上がるつもり?」と尋ねてきた。

ここで「ノー」と言えないニッポン男児。
「もちろん!」。行きがかり上、そう答えるしかない。
85メートルなんて、軽い軽い。

▼新市庁舎前のマリエンヌ広場。人間が豆粒のようだ
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いやピサの斜塔は地上55メートルで、300段近くあった。
こちらが85メートルだから500段はあるだろう。
あ~あ、つまらない見栄を張っちゃった。

受付嬢の訝しげな視線を背中に感じながら、薄暗い階段へ。
100段、200段…気温は氷点下なのに、背中には汗が吹き出す。
400段を超えたあたりで息が切れ始めた。

▼ネギ坊主のような頭をした双塔が印象的なフラウエン教会
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はいつくばるようにして塔上へ辿り着いた。たぶん512段だ。
ぐるり視界は360度、ミュンヘンの街並みがわがものになったぞ。
しかし頂上はふきっさらし。体の芯まで凍りつくようだ。

それでも10分ほどとどまり、写真を撮りまくった。
もちろん下りも階段で。受付嬢に「軽いね」とピースサイン。
しかし、顔は引きつっていたに違いない。

▼地上から観たフラウエン教会。工事中で外観のみ見学
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ミュンヘンのシンボルがフラウエン教会だ。
ロシア正教会のようなネギ坊主の塔が印象的だが、れっきとしたキリスト教会だ。
工事中の北塔が99メートル、南塔100メートルもある。

残念ながら工事中。外観だけの見学しかできない。
レジデンツは14世紀に建築がはじまったヴィッテルスバッハ王家の宮殿。
現在は美術館や博物館として使われている。

▼ヴィッテルスバッハ王家の宮殿だったレジデンツ
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レジデンツ中庭の入口にあるのが「盾を持つライオン像」だ。
この盾に触れると幸せが訪れるという言い伝えがある。
もちろんミーハ-な私、何度も何度も触った。

それから2カ月近く。
いまだに幸せはやってこない。どうなってるんだ、責任者出てこい!
冗談はともかく、1人寂しく盾に触れる日本人。なんだかわびしいなあ。

▼幸運をもたらすとされる「盾を持つライオン像」
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歩いて塔に登るというハプニングはあったが、ミュンヘンもいい街だった。
いったん南ドイツを離れ、オーストリアのザルツブルグを訪ねることにしよう。
モーツァルト生誕地、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台ともなった街だ。

■全く役立たないトリビアクイズ<4>

ミュンヘンの住宅街で、でっかいモニュメントに出会いました。
たぶん10メートルは越えているでしょう。走ってる? 歩いている?
さて、このモニュメントはなんと言う名前でしょうか。

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①走る男②歩く男③のろい男④寂しい男⑤崇高な男⑥その他

★第3回解答 

まややさん惜しい。預かり金じゃなく、ペットボトルを持参してペットボトル飲料を買うと、0.25ユーロ安くなるんです。