フェルメール作品を所蔵する美術館はオランダに二つある。
一つがアムステルダム北部ハーグにあるマウリッツハイス美術館。
「真珠の耳飾りの少女」「デルフト眺望」「ダイアナとニンフたち」の3点だ。

もう一つがアムステルダム国立美術館だ。
古里デルフトを描いた「小路」と「牛乳を注ぐ女」「青衣の女」「恋文」。
いずれも1mにも満たない小品だが、人気はどんな大作にもひけをとらない。

アムステルダム観光にはトラム(路面電車)が安くて便利だ。
1時間券は2.6ユーロ(260円)。1時間以内なら何回でも乗車OK。
ただし、かなり割高ではある。

▼王宮。ほとんどノーガード。だれでも玄関までは行ける
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そこでお得な3日券を購入。
15.5ユーロ(1560円)だから、6回乗れば元が取れる。
白地に青いストライプ、爽やかなイメージのトラム。

アムステルダム中央駅から2番のトラム(5番もOK)で国立美術館へ。
新教会や王宮、べギン会修道院など歴史ある建物を縫うように進んで行く。
約20分で国立美術館に到着した。

国立美術館は1885年オープン。
フェルメールの4作品をはじめ、レンブラントの作品も数多く収蔵。
なかでも門外不出の大作「夜警」は必見だ。

▼安くて便利なトラム。市街地を縦横に走っている
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2004年に始まった改装工事が未だに終わっていない。
日本では考えられない大らかさ。いちおう2014年には完了予定とか。
この辺りのいきさつは映画「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」に詳しい。

入館料は15.5ユーロ(18歳未満は無料)。
いざ入館しようとすると、Mちゃんがチケット売り場の女性スタッフともめている。
慌ててUターン、2人の間に割って入る。

「あなたは18歳未満でしょ。だからチケットはいらないの」
小柄で童顔のMちゃん。女性スタッフは、私たちが親子と勘違いしたようだ。
「知らん顔してタダで入ればいいじゃん」。ズル賢い私。

▼アムステルダム国立美術館。改装工事はいつ終わるのか
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馬鹿正直なMちゃん。「そんなの駄目よ。私は嘘は嫌いなの」
「幼く見えても、私は2★歳なのよ」。正直に自己申告、チケットを買っている。
あ~あ、もったいない。15ユーロあれば、ビールが3杯は飲めるのになあ。

美術鑑賞はマイペースでしたい。
2時間後の集合を約して、3人と別れる。
胸の高まりを抑えつつ、2階のフェルメール室に急行。

がーん。そこには「小路」と「牛乳を注ぐ女」しか展示されていなかった。
「青衣の女」は京都で開催された「フェメールからのラブレター」展で鑑賞した。
しかし、「恋文」がないのはなぜなんだ!

▼ミュージアム広場から眺めた、夕日に染まる国立美術館
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絵があるべき場所に、小さな張り紙があった。
オランダ語だから分からないが、どこかに貸し出し中なのだろう。
もう悔しいのなんの。わざわざユーラシア大陸の端っこからやってきたのに。

いまさら地団太踏んでもどうにもならない。
レンブラントの代表作「夜警」のスケールの大きさには圧倒される。
横4.37メートル、縦3.63メートル。展示室の壁全体を覆い隠すほどだ。

光と影の絶妙なコントラスト、今にも動き出しそうな人々。
それまでは平板的だった集団肖像画に新境地を開いた傑作だ。
第2次大戦中はマーストリヒトの洞窟に保管、ナチスの簒奪をまぬかれた。

▼ゴッホ美術館。「ひまわり」「アルルの跳ね橋」など至宝がずらり
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▼夕闇に消える黒川紀章氏が設計したゴッホ美術館新館
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国立美術館の近くにある国立ゴッホ美術館も見逃せない。
1973年オープン。油絵200点、素描550点。
世界最大のゴッホコレクションを誇っている。

午後4時半、太陽が沈んだ。
ゴッホ美術館の西側に広がるミュージアム広場も夜の帳(とばり)に包まれた。
黒川紀章設計のゴッホ美術館新館も夕闇に沈んでしまった。

そろそろホテルに戻ろう。
丸1日かけた美術鑑賞、よく歩いたなあ。
さて晩飯は何にしよう。FちゃんMちゃんの希望に付き合おう。

※美術館内は撮影禁止のため、絵画の写真はありません。

■毎度おなじみ、役立たずクイズ(4)

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国立美術館近くのスーパーで勝ったロング缶のビール。
なんとアルコール度数は10%もあります。
さて、これはいくらだったでしょう。

①0.5ユーロ②1.1ユーロ③1.5ユーロ④2.1ユーロ⑤その他

第3回解答>チューリップを生ける花瓶でした。