デルフト焼の工房から、デルフト旧市街へ向かう。
フェルメールが生まれ、絵を描き、亡くなり、そして永遠に眠る街。
それがデルフトだ。

T上司ランチ漫遊

まず旧市街の中心マルクト(英語でマーケット)広場へ。
風雪に耐えた石造りの家並み、縦横に掘り巡らされた運河。
フェルメールの傑作「デルフト眺望」「小路」そのままの風景が今も広がる。

フェルメールが生きた17世紀にタイムスリップしたような錯覚すら覚える。
行き交う車が旅人の感傷を破り、現代社会に引き戻す。
マルクト広場の正面に立つのが新教会だ。

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壮麗なゴシック建築。
新教会とは言うものの、1381年に建造された。
鐘楼は高さ108.75メートル。379段の石段でてっぺんまで登ることができる。

入場料は7ユーロ(旅行時のレートで735円)。
さあ、どうしよう。軟弱なウサギさんはイヤイヤしている。
若いFちゃんMちゃんは「登るヮ」と躊躇なし。

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旅は始まったばかり。
ここで足を痛めては、FちゃんMちゃんに迷惑がかかる。
そこでウサギさんと一緒に近くのカフェで、2人の帰還を待つことにした。

午後3時、鐘楼からカリヨン調べがこだました。
優しい鐘の調べ。遠来の異邦人の旅情をかきたてる。
コーヒー飲みながら待つこと約1時間、ようやく2人が戻ってきた。

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「すっごく急なだったヮ。上りは平気だけど、下りが怖かった」とFちゃん。
3年前の階段落ちの忌まわしい記憶がフラッシュバックした。
やっぱり自重して正解だったかも。

そこへMちゃんは水を差す。「絶景だったよ。一緒に登ればよかったのに」。
う~ん、ウサギさんをおっぽらかして、2人に同行すべきだったか。
いまさら地団太を踏んでも、どうしようもない。

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新教会に対面するように建っているのが市庁舎だ。
14世紀に建造されたが、塔を残して火事で焼失。17世紀に建て直された。
もちろん今も現役だ。週末には結婚式が行われているとか。

マルクト広場から、石造りの家並みを縫うように旧教会へ。
13~15世紀に建てられた、その名の通り古い教会。
フェルメールは最愛の妻とともに埋葬されている。

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この教会、よ~く見ると西側へ少し傾いているのだ。
ピサの斜塔くらい傾くと、観光客が増える? 不謹慎な妄想をいだいた。
初冬のデルフト、観光客とは数えるほどしか出会わない。

来た道を引き返し、フェルメールセンターへ(入場料7ユーロ)。
フェルメールが所属したギルド(同業組合)の建物を改装した博物館。
彼の全作品がパネル展示されている。

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フェルメールは日記も手紙も残していない。
謎の多い彼の生涯を手っ取り早くたどることが出来る。
冬の北ヨーロッパ、日暮れは早い。寒さも厳しさを増してきた。

入場はあきらめ、フェルメールの生家も横目で見学。足早に帰路に就く。
あすはフェルメール3作品が展示されているアムステルダム国立ミュージアムの観光だ。
FちゃんMちゃんに筋肉痛が出なければいいのだが。

※国立ミュージアムが所蔵しているフェルメール作品は4点。「牛乳を注ぐ女」「恋文」「青衣の女」「小路」。その内の1点「青衣の女」は現在、日本を巡回展示中。昨年夏、京都でFちゃんMちゃんと共に鑑賞。今回の旅の契機となった。

■毎度おなじみ、役立たずクイズ(3)

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デルフト焼の工房からもう1問。
直径数センチの穴がいっぱい開いた焼き物。
大きさは50センチくらい。これは何に使うものでしょう?

※役立たずクイズ第2回解答 オランダと言えばミッフィーでしょう。