北アフリカのモロッコ。
日中の気温が40度になろうが50度になろうが、それは織り込み済み。
大いに戸惑ったのがラマダン(断食月)だ。

2011年のラマダンは8月1日から28日まで(新月から次の新月まで)。
イスラム教徒は日の出から日の入りまで、一切の飲み食いを禁じられている。
ちなみに8月の日の出は午前5時半、日の入りは午後8時半くらい。

▼シャッターを下ろした商店街。人通りもほとんどない
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なんと15時間、自らのツバすら飲みこめないのだ。
イスラム暦は太陰暦なので、ラマダンは毎年少しずつ繰り上がる。
日没が早い冬場はともかく、夏場のラマダンは大変だ。

まあ、それも想定の範囲内のつもりだった。
しかしモロッコの土を踏んで目にしたものは…。
なんと飲食店やカフェが、ほとんど閉店しているのには驚いた。

▼モロッコ一のビール「カサブランカ」。小瓶で450円もした

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そりゃあそうだ。
ラマダンだから飲食店に誰もやってこない。閉店するしかないでしょう。
じゃあ観光客は何処で食事をすればいいのか。

そこはよくしたもの。
外国人相手のホテルのレストランは営業している。
ただしメニューは少なく、ほとんどがフルコースだけなのだ。

▼スープと前菜。これだけでお腹がいっぱいになった
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カサブランカの四つ星ホテルにチェックイン。
ホテルのメーンダイニングで晩飯。関空で肉まんを食べた。
機内食も4回出た。そんなに食欲があるはずはない。

少しお腹に入れるだけでいいんだけど。
なのにメニューはスープ、前菜、メーン、デザートとフルラインナップ。
お相撲さんならともかく、体重50キロの軽輩に食べ切れるはずもない。

▼メーンの牛肉煮込み。かなりハードだった。デザートは別腹
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前菜もメーンの牛肉も残しちゃいました。
モロッコの農・畜産業の皆さん、ごめんなさい。
それでもデザートだけは完食しました。

一夜明け、いよいよ世界遺産制覇の旅スタートだ。
朝食バイキングで腹ごしらえ。パンとハムとスクランブルエッグ。
ソーセージが不味い。臭いもきつい。たぶん羊肉だ(イスラムは豚肉はNG)。

▼朝食バイキング。羊肉のハムは臭いがきつい。コーヒーも今一つ
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クロワッサンとデニッシュが美味いのが救いか。
モロッコはフランスの保護領だった。パン食文化が根付いているのだろう。
まずサブランカから東へ100キロ、首都ラバトをめざす。

直線に近い高速道路、車も少ない。きわめて快適なドライブだ。
午前9時過ぎだというのに、真夏の日差しは容赦がない。
むき出しの顔や腕をじりじりと焦がす。

▼高速道路の料金所。ほとんど車は見当たらない
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首都ラバトにあるムハンマド5世の霊廟
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ラバトで外せないのがムハンマド5世の霊廟だ。
フランスから独立を勝ち取った“英雄”の遺体が安置されている。
1973年に建設。青空に映える、きらびやかな霊廟だ。

入り口は4カ所ある。
それぞれ赤いマントをはおった衛兵がにらみを利かせている。
「フォト OK?」。優しそうな衛兵を選んで、カメラを見せて尋ねた。

▼優しい衛兵ときらびやかな霊廟内部。中央がムハンマド5世の棺
戸惑いの表情を見せながらも、彼はニッコリ。
顔はいかついが、観光客にはフレンドリーのようだ。
神聖なはずの霊廟内でもシャッターを切った。

この霊廟と同じ敷地内にあるのがハッサンの塔だ。
1195年に建設が始まったが、その4年後に工事が中断された。
完成すれば88メートルになるはずだったが、現在の高さは44メートル。

▼ハッサンの塔。周りの柱はモロッコ大地震で崩壊した
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それでも世界最大級のミナレットで、
セビリアのヒラルダの塔、マラケシュのクトゥビアと並んでいる。
今は登ることができないのが残念だ。

ラバトを後に一つ目の世界遺産ティトゥアン旧市街をめざす。
ラバトから北東へ300キロ。地中海に面した古い港町だ。
行程のほぼ半分を走ったところで、ランチタイムだ。

▼ティトゥアンへ向かう丘陵地帯。風力発電の風車が目についた
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ところがレストランが見当たらない。
高速道路や一般道をを行ったり来たり。
1時間近くうろうろ。ようやく小さなホテルにたどり着いた。

スケジュールは大狂い。
これが今回の旅の行く末を暗示するような出来事になるとは、
日出る国の善良な旅人には知るすべもなかった。

■全く役立たないモロッコクイズ<1>

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カサブランカのホテル。
ベッドの頭側に、写真のような金属製のものが埋め込まれていました。
さて、これは何でしょう。ずばり答え下さい。