2度目の逢瀬

「ちひろ…ちひろちゃん?」

「ちひろでいいです」

「ちひろ、いい子だからそれを離して」

口での愛撫に夢中な彼女を制してゴムをつけると、男は自身を温かく湿った秘所に押し込んだ

「あっ…っん!」

たくしあげたキャミソールとブラからこぼれたピンク色の果実を甘噛みすると、ちひろは男の背中に爪を立て細い太ももを痙攣させる

「…っ、やばいってそれは」

男はちひろが達したのを確認してから、薄い膜越しに熱い欲液を放出した

ふたりでバスルームに行き汗を流すと、再びシーツの海に潜り込み、心ゆくまで相手の身体に溺れていく

やがて

ちひろの呼吸が落ちつくのを見計らい

乱れたセミロングの髪を指で梳きながら、男は躊躇いがちに口を開いた

「どんな漢字なの、ちひろって?」

「あっ、いえ…平仮名なんです」

偽名だと疑われている気がしたちひろは、裸のままでベッドを抜け出し、鞄の中から大学の学生証を取り出して見せる

「ほんとだ、森崎ちひろ。21歳、大学生か。ずいぶん遅い時間までバイトしてるんだね」

「学費は親なんですけど、家賃と生活費は自分でなんとかする約束でひとり暮らしを始めたから」

学校は実家から通えない距離ではなかったが、今年から部屋を借りて自活してるため、目一杯バイトをしても金銭的な余裕はない

「…だったらなんで」

ひと月前に渡そうとした金を、タクシー代すら拒絶した理由を男は深読みした

「今さらなんだけど結婚してるんだ、俺」

左手の指輪を見せてそう言うと、ちひろは小さく頷いた

「わかってます、恋愛感情とかはありません」

「ごめん、俺もたいがい自惚れてるな。じゃあ、とりあえず」

男はサイドテーブルに置いてあった革財布に手を伸ばし、中から免許証を取り出すと一部を指で隠してからちひろの目の前に差し出した

「住所はちょっと見せられないけど」

氏名の欄には水上周と記載してある

「ミズ…かみ?」

「ミナカミだ、ミナカミ…シュウ」

「ミナカミさん?」

「シュウでいいよ」

「水上さんがいいです。お誕生日、9月13日って明後日…っていうか、27歳なんですか?」

ちひろより6つ年上だ

「そう、明後日で27になる。見えない?」

「見えなくもないけど、水上さん大人っぽいから30代だと思ってました」

「老けてるって、正直に言えよ」

照れくさそうに右手で顔を覆った周を、ちひろは初めて可愛いと思った


つづく↓