これもまた1年生の時の話です。

 

にっちは小学校に入って初めての運動会でアンカーを任されました。

 

運動会というイレギュラーなイベントに少し緊張している様子はあるものの、

 

普通にご飯を食べ、普通に眠りにつきました。



 そして、1時間後。突然むくりと起き、

 「わああああああああああああ。運動会やめる。出ない。休む。ああああああ」
 

 

と叫んだのです。

 

自らの頭を叩きながら、今までにないボリュームの叫び声をあげて。

 

 

 

 

 

 

なだめようにも、いつもより勢いがあります。

 

ちっちは、近所迷惑にならないよう近くの神社に連れ出しました。

 

その後、にっちは1時間泣き、そして力尽きて眠りました。

 

 



 翌朝起きると、にっちは昨夜のことを忘れてすっきりしていました。

 

 

運動会について「休んでもいいよ。どうする?」と聞くと、

 

「出る」と言います。

 

 

ですが、夜になるとまた同じことが起こりました。

 

 



 それを1週間続け、迎えた運動会当日。

 

 

 



 私たちは当日に初めて知ったのですが、

ボール送りのアンカーというのは、回ってきたボールを一度方向転換させて前に戻し、また往復して戻ってきたボールを受け取り、一人で抱えて走ってゴールするという「大役」だったのです。

 



 これが、1週間続く夜泣きの理由だったのだと、大いに納得しました。




 肝心の競技は、接戦となりました。

 

なんと、他のチームはアンカー手前でボールを落とすというまさかの展開。

 

一位でゴールしたにっちは、満面の笑みで得意そうでした。

 事前に見せていたあまりの緊張ぶりから欠席も考えた運動会でしたが

 

本番では楽しめたようで安心しました。

 



 こうしてその日以降、夜泣きはなくなりました。

 

 

 

 

 

緊張するとこんな風にもなるのかと、新たな発見でした。