チュンソクはいつものように隊長室に入ろうとしていた。声もかけずに。
忘れていたのだ。ただいま隊長の部屋にはイセンさまがおられると。
「隊長」
用意が整いました。そう声をかけると同時に扉を開けてしまった。
がちゃりと大きく開ける。
目の前で隊長とイセン様が顔をよせあっている。今にも接吻をしようとしているように思えた。
「チュンソク」
「はい」
お二人は密着していた体を慌てて離していく。これ以上は何か言われる前に逃げよう。今見たことは忘れようと誓いを立てた。
そしてこの秘密は誰にももらすことはなかった。
ヨンとウンス。逃げ足の素早さにあっけにとられていた。
「今・・見られた?」
「いや」
口付けをしようとはしていたがしてはいないし・見られてはいないはず。二人はきまずい思いをさせられたまま固まっていた。
そこには誰もいないことをあらためて確認したヨンは腰を素早く引き寄せて触れるだけの口付けをして離れていった。
「え?え?」
余韻にひたることもできずにヨンは去っていってしまう。
チュンソク声をかけられる前にこれだけは言う。
「誰にもいいません」
「ああ」
とだけ残して二人は任務に戻る。