わたしは小さな耳と短い脚と白い毛並み。
「わん・・わん」
思わず元気よくないちゃった。
いつもうるさいと怒られるのに。この人たちは怒らずに優しく声をかけてくれた。嬉しくなり自慢の尻尾も元気よくふりふりさせちゃった。
「ねぇ・・どこからあなたはきたの?」
女の人がしゃがみわたしに声をかけてきた。
答えようがないのよ。
「かわいい」
触っていい?でもね・・私はまだ女の人は怖いの。男の人を探す。
「あの人を探しているの?」
わん。そうなの。あの人はどこにいるの?わんわん。
「さがしてみようか?」
まかせて。わたし鼻がいいのよ。ふんふんと地面に鼻先を押し付けて匂いを探す。
こっちよ。わんわんと合図する。さっと走り出す。
「あ・・まってまって」
その女の人は足が遅かった。
わん・はやくこっちこっち。走っては止まり走っては止まりを繰り返しいる。
犬と人と追いかけっことなっている。微笑ましいと皆が道を開けてくれた。
「イセン様の・・犬ですか?」
「いいえ・・違うのよ」
迷子みたいでねと立ち話。話好きらしいと知るが早くいかないと見失うのよ。前足でちょんとつつく。
「ああ・・ミアネよ」
いま行くわと私についてきてくれる。
昔もそうだったなと思いだして切なくるわ。
「兵舎ね・・ここにあの人がいるのね?」
「わん」
そうよ。ここにいるわ。私は兵舎に向かっていく。
「イセン様・・あれ・・それは先ほどの犬ですか?」
「そうよ‥あの人はどこにいるかしら?」
ウダルチの人がチェヨンの元へ案内してくれた。
「ああ・・」
綺麗になってよかったな。いまこいつのことを調べていたんだが誰も飼い主を知らないらしい。
スリバンにでも調べてもらおうか。王宮ではどのみち飼うことはできないしな。
「お前・・まこと・・どこからきたんだ?」
ひょいと抱き上げられた。その素早さに抵抗することも忘れた。