チェヨンが寝太郎だった時期のこと。ただただ寝ているだけの日々。寝ても覚めても夢の中。ここへ来た理由はなんでもなかった。
「寝床はどこだ?」
ふらりとやってきてヨンはふあと力がぬけたようにあくびを一つ。さっそく部屋の寝床にて大の字になる。
こそこそ話す声が聞こえてきた。
「寝てたのかな?」
「死んでないよな」
きになるなら確かめにいってみればいい。
「隊長だぞ」
若造の声が聞こえてきた。トルべが試しに仕掛けてきた。遊んでやる。
ころりと転がるふりをしながら拳で振り払う。見事にぶち当たった。弱い・弱すぎる。これではすぐにあの世にいく。
ふあぁとひと騒動したら誰も邪魔しなくなった。
「俺は眠い」
しかし・・一度くらい鍛え直してやるか。すきだらけの奴らをしごくというのもまた・・一興か。眠い目をこすり上げて顔を洗った。副隊長に声をかける。
「隊長」
「おれは隊長になるつもりはない」
「いいえ」
それでもあなたは隊長なのです。頑固にものをいう。こいつもまた面倒なやつだ。テマンに声をかける。
嬉しそうにやってきた。
「少し遊んでやれ」
「え・え」
テマンはおろおろしだす。ぽんと頭をなでてやる。
鍛錬というよりもしごきに近いがそれでも奴らはなんとかついてきていた。
ますますなつかれることとなる。面倒くさい。たまには酒でものんでこいと金を投げつけた。
「よろしいのですか?」
「ああ」
おれは寝るといい床に転がった。本当に寝てしまう。
そうすると三泊四日になってなかなか起きない。