次の日のこと。離宮で過ごす二人は朝はおそくとも間に合う。ご飯の用意はそろそろ自分たちですることにしていた。
記憶はないがわかることもあるというものだ。日常的なことは動けそうだ。包丁を握りさて野菜を切っていく。
旬のもの。野菜・ご飯・汁物・体にいいとされているハーブのお茶。なぜか横文字が真っ先に頭に浮かんでいた。寝ぼけた顔のままヨンもやってきた。洗面をそこですませてしゃきんとした。仕事着にすでになっている。
「おはようございます」
「おはようございます」
朝の挨拶をしてからご飯を食べるのが約束ごとにした。まずはきちんとご飯を食べること。
「今日は俺もいきます」
チョニシ行くと言い出す。本当に話をするつもりのようだ。いそがしいというのに。大丈夫かしら?心配になる。
栄養のつくもを考え直す。旬の野菜もおいしいが夫も苦手なものはあるようだ。また一つ知っていく。さりげなくよけていたのを発見する。
「口に合いませんでしたか?」
「いいや・・そうではなく」
昔から・・このてのもは苦手なのですといった。
「それは・・また」
もう少し考えて見よう。
仲良く出勤する夫婦に皆はなれたようすで過ごしていく。
「これは・・どうなされましたか?」
ウンス殿と呼んでいいのか聞かれたのでヨンに許しをもらう。
「はい・・シン侍医」
お話が実はありまして・トギにも同席をお願いします。
「はい」
それで話というのはトギに聴きたいことがあるの。
指先で動かす。診察日記があるときいたんだけど。本当にあるの?
「診察日記・・チャン侍医が書いていた・・あれのことか?」
ばっとばっと手を動かして駆け出していく。すぐに戻ってきたトギはウンスにみせる。
「ごめんね・・読めないの・・わたし」
ヨンが隣に腰を下ろした。シン侍医にも見えるように開いた。
一通り目を通していく。シン侍医は間違いなしと答える。
「では・・王妃様・王様のことも」
「はい」
これでわかります。内密の話になる。こそりと話していた。
王妃様・王様のために温泉で治療という面目は立つのだな。皆が頷いた。これで決まった。
「次にうるさい連中を黙らせる必要がある・・侍医も手をかしてくれぬか?」
「はい」
説明を求められることになるだろう。そのときはこちらで対応いたしましょう。