「水にぬらさないようにといいましたね」
「うん」
「では・・風呂には入れませんね」
「それはいやよ」
入るわ。軽度のやけどだしすぐに治るわといいはる。ヨンは軽度?手の甲に広がっているこれをみてますます顔を険しくさせる。
「手を濡らさぬようにようにして風呂に入れますか?しかも片手で」
「できる」
「嘘ですね」
誰かに手伝ってもらわないとならない。
チャン侍医が戻り傷を見てもらいやけどの具合を確認している。
「イセンのおっしゃる通りですね」
水に濡らさないようにみずぶくれとなっている個所をつぶさないようにしてください。
「はい」
お風呂はしばらくあきらめてください。あなたも医者でしょう。
「でもね」
だんだんあつくなってきている。せめて水あびくらいはしたいという。
「では隊長が手をかして差し上げてください」
「おれが?」
ぎょと目をさせた。隊長をみて侍医は扇子の陰でひそりと笑う。
そしてウンスとヨンはお互いに顔を合わせることになった。手を濡らさぬようにお手伝いを差し上げてくださればいい。
「それとも私がお手伝いをいたしましょうか?」
「なんだと?」
「侍医」
怒鳴るヨンと困惑するウンスがいた。
ということで風呂場にいた。白い衣だけをみにまとい真っ赤になりながら湯殿に入ってくるウンス。隊長は黒い衣だけ着ていた。塗れてもいいように下着姿になって腕を組んでいた。
「きましたか?あなたが湯に入りたいというからですよ」
「だって」
汗もかくし気持ち悪いんだもの。片手はぬれないようにつねに上にあげておいてください。頭はこちらに。一度倒した。湯をすくいかけていく。石鹸というものをつかいぬらした髪の毛を手のひらで洗っていった。
丁寧で優しいそのしぐさにうっとりとする。ウンスだった。