次に向かうのはバッグ売り場。

「これは」

ウンスが驚いて口を開けて目を丸くさせる。そのバッグ売り場は報道陣であふれていた。記者たちが店の人にマイクをよせている。質問ぜめにさせていた。ヨンはさり気なくパーカーのフードをかぶり伊達メガネをかけた。

 

「これじゃ・・無理だ」

その間にも客であふれかえっていた。小さいバッグは有名となり品薄となっていた。棚に並んでいるそれはすぐになくなるのだ。

ヨンとウンスは少し離れて見ていた。一人の男が声をかけてきた。さりげなく後ろに移動していた。

 

「あれ?」

その声にウンスが振り返る。

「はい」

ああ・・やっぱりこの間はどうもありがとうございました。犬を。ウンスが男のことを思い出す。キ・ジェミョンですという。

「ええと・・そちら?」

ヨンはみたことがあるが大学生のふりをしたヨンは知らない。

「同じ大学生なんです」

「そうでしたか?」

じいとヨンのことをみてくるのでさりげなくウンスがかばう。

「どうしました?」

「彼にもどこかで会ったことがあるような」

「人違いです」

ヨンがぼそりといった。

 

ウンスとヨンが腕を引かれた。テレビにうつのはまずい。

「あなたはどうしてここに?」

「弟が記者を」

こっそりと見にきたのですか?ウンスがにこりとほほ笑むと彼が頷く。

「この後・・時間は?」

ヨンは首を振るので断ろうとした。喫茶にいきませんか?おごります。犬のお礼です。その言葉にウンスがくいつく。