天生目理香(Nabatame Rika)です。

 

またしても、久々の投稿になってしまいました。

最近は、仕事で滋賀県の彦根市に毎週通っています。そろそろ準備して出かけなきゃ。✨💍✨

ジュエリーの方は新作が春頃できるかなぁと楽しみにしているところ。

日々、いろんなことありながら、一歩ずつ

頑張って続けていきますね。

 

 

 


ナースが歩むジュエリーの道 ~透明な輝きを求めて~ ⑦ 訪問看護ステーション開設

 

 ご利用者さまとの信頼関係を大切に、心から安心していただける訪問看護ステーションを作りたい。

 そんな思いから「平松訪問看護ステーションTrust」という名前を決めた。Trustは信頼、信用を意味する。
 
 群馬県のとある病院に勤務しながら、いつか地域の役に立ちたいと、訪問看護の立ち上げを考えていた。夏の暑い間、事業者指定を受けるため、休みを利用して群馬から宇都宮市役所に何度も通い、申請を出した。

 そうして、1年前にようやく開設した「平松訪問看護ステーションTrust」。ここでは貴重な経験と数多くの素敵な出会いがあった。
 
 その1人が宮崎かおりさんだった。
 
 訪問看護を担当することになり、初めて挨拶に行った日のことを今でも鮮明に覚えている。

 「どんな方だろう…」

 ご利用者さまと初めてお会いする日はいつも緊張する。

 宇都宮市の住宅街にあるご自宅を訪ねた。玄関のチャイムを押して、扉を開ける。

 「こんにちは~初めまして! 平松訪問看護ステーションTrustの天生目といいます」

 「どうぞ~」

 奥の方から元気な声が聞こえてきた。

 玄関で靴を脱ぎ、右側のドアを開けると、車いすに座った50代半ばくらいの明るい笑顔の女性が出迎えてくれた。

 その部屋は、20畳くらいの広さがあり、奥にキッチンとベッドルーム。入り口に近いところが畳敷きで小上がりのリビングスペースになっていた。

 女性は部屋を、車いすで自由に移動し、コーヒーを入れてくれた。
 
 
 
 
 

「すみません、これをテーブルまで運んでいただけますか?」。小上がりのテーブルを指さして、女性は笑顔で言った。


「はい・・・」。私は言われるままに、トレーにのった2つのコーヒーを運び、テーブルに置いた。


「そこに座ってください」と促され、小上がりのテーブルに座った。

そして、その女性も車いすを小上がりにつけ、両手を畳についたかと思うと、お尻を浮かせ、慣れた様子でさっと小上がりの畳に上がった。


 対面した私たちは、改めてお互いに自己紹介をし合った。

 

 宮崎かおりさん。

 

 少し赤みがかったロングのサラサラな髪、「TOMMY HILFIGER」のピンク色のTシャツ。明るい声のトーンと屈託ない笑顔。


 手の爪はピンク系グラデーションのジェルネイルが華やかに施され、右の薬指にはダイヤモンドの2連のリングが光っていた。


 両下肢はない。

 

 

 

 

 「来週、家族でハワイに旅行に行くから、来月から訪問看護をお願いしたいと思って。きょうは、ハワイに持って行く薬の準備をお願いできますか?」


 私たちはこの日、これまでのお互いのいろんな出来事を話して、楽し過ぎる時間を過ごした。


 本当だったら、宮崎さんの病気のこと、訪問看護のことをもっともっと話さなくてはならないのに、本題そっちのけで、旅行や趣味、家族のこと、ファッションのこと、メイクのことなど夢中でおしゃべりした。


 2階でお仕事をされていたご主人さまが降りてきたとき、「しまった(汗)」と我に返り、薬の整理をして、この日は帰宅した。

 

 宮崎さんがハワイ旅行から帰ってきてから、私が平松訪問看護ステーションTrustを離れることになるほんの少し前まで、宮崎さんの訪問看護は続いた。それは私にとって、とても得がたい時間だった。