フラワーモチーフジュエリーブランド

セレンディップジュエルの

天生目理香(Nabatame Rika)です。

 

このブログは、今落ち込んでいて

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書き始めたパーソナルStoryです。

 

 

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人生初?!の経験 (40歳どん底Ns.がジュエリーで輝く2620日 ④)

 

 

3歳くらいの男の子がトコトコと歩いてきた。
「かわいいな」思わずほほ笑んだ。
次の瞬間、その男の子は急に表情を歪め、泣き出して母親のもとに走って行った。
 
その時、気が付いた。子供が泣き出すほどの怪しい格好をしているのだと。
 
私はこの頃、ほんの少しの時間でも外出する際は大きなサングラスをかけ、大きな黒い帽子を深くかぶっていた。
人に会うのが怖くて仕方なかったのだ。
誰もが自分に危害を加えてくるような錯覚に陥っていた。
 
怒られる、騙される、責められる、裏切られる。
全ての人が怖かった。
絶対に信用してはいけないと思っていた。
 
その日は、ユニクロでデニムを選んでいた。
仕事を辞め、家にいるようになってから、着る洋服がないことに気が付いた。「そうか、仕事ばかりしていたから…」。
ほとんどは仕事に行くときに着ていた洋服だった。家の中で、どんな服装をしていたらいいのかふと悩んだ。
 
それで、ユニクロで安いデニムを買った。
デニムは持っていなかったから、合わせてカジュアルな服を何着か買った。
ゴールデンウィークが終った頃。
春の軽い服装は新鮮だったが、社会から外れてしまったように思えて、そんな自分に寂しさも感じた。
 
白い天井と、薄い模様の入ったクリーム色の壁紙。
寝室のベッドからぼんやりと眺めていた彩りのない空間が、記憶の中にある私の日常だった。
一日のほとんどの時間をベッドで過ごし、ずっと天井と壁を見つめていた。
薬を飲んで気分が少し落ち着いたときに、生活のために必要な最低限の家事をどうにかこなしていた。
 
一人で家にいるのに、怯えていた。
常に誰かに責め立てられているような気がした。
私に理不尽な仕打ちをしてきた上司に対する憎しみもあった。
求めて選んだ大切な仕事を続けられなくなった自分を責める気持ちが、それらと交錯した。
 
内科クリニックで処方された精神安定剤を飲んでいるうちは、落ち着いていられたが、
薬がなくなると苦しくて仕方がなかった。「正気」ではいられなかった。
 
心療内科を初めて受診した。
緊張しながら扉を開けると、柔らかな明るさのある院内の雰囲気と
受け付けの女性の穏やかな笑顔に少しホッとした。
ほかの病院にはない、ゆったりとした時間が流れていた。
 
これまでのことを打ち明けると、医師は優しい表情で淡々と聞いてくれた。
「内科クリニックで処方された薬が効いていたなら、それを続けて飲んでみて」。そう言って同じ薬を処方してくれた。
 
薬を飲めば、どうにか普通の顔をして生きていられたが、薬が切れると、またパニックに陥る。
その繰り返しだった。3~4回受診し、2~3カ月内服治療を続けた。
 
何よりつらかったのは、20歳の頃からずっと努力を重ねてきた看護師という仕事を突然に失ってしまったことだった。
その努力を全て無駄にしてしまったと、ひどく自分を責め続けた。私は結局、何もできなかったと。
 
全てを振り切るようにして決断した退職だったが、その先の道しるべは何もなかった。