君の名を呼びたい 7 | 櫻の葉色

櫻の葉色

左利きマジョリティ

「腐」です。


苦手な方は、回避願います。






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2人で風呂に入り  身体を綺麗に洗い流し、新しい洋服に着替えて戻ってきてから、君は 僕の顔を見ない。



僕に背を向けて  黙々と体育座りして、 繋げたTVゲームに夢中になっているフリをしているけれど、さっきから コンティニューを繰り返している画面は、1面も クリア出来ていない。




「相葉ちゃん?」



「………。」




後ろから声を掛けると  ビクンっと身体が震えるのに、 やっぱり僕の顔を 振り返って 見ようとはしない。



怒ってるんだよ って 身体で表そうとしているんだろうけど、 優しい君は 僕の事を 凄く気にしてしまっていて、それが 延々と繰り返している ゲームのコンティニューに 表れている事くらい明白だった。




後ろから、君の細い背中を 抱き締める。



やっぱり ビクンと身体を揺らすけど、首に絡めた腕を 拒否する事はしない 君の態度に、少しだけ ホッとした。 




「あ〜いばちゃ~ん  ってばぁ?」



「…………なんだよぉ…。」




僕に顔を向ける事は無いものの、小さな声でも 反応してくれた事が嬉しくて、腕の中に収まった 君の項に 鼻を寄せて、鼻先と唇で ゆっくりと撫で上げる。




「もう…、  まだ  拗ねてるの?       相葉ちゃん?」




ギュッと身体を強ばらせた後、手にしていた コントローラーをラグの上に置くと、 首の前に絡まった 俺の腕に両手を重ねて、ゆっくりと 口を開いた。




「………あんなの……、   ……どうすんの…?」



「あんなの?」




僕の惚けた声に 勢い良く振り返った君の顔が、覗き込むようにして近付けていた僕の顔にぶつかりそうになって、慌てて両腕を解いた事で ぐらついた君の身体を引き寄せて  再度、腕の中に閉じ込める。




「っ///。     さっき…っ、     さっき、とったやつ!」




僕の胸を押し返して、顔を上げた瞳は  潤んで 揺れていた。