痛み入る挨拶の文化、が政治的中立性にまで発展するという恐るべき管政権 | 空気の意見 

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【暴力装置発言の発端】

 なにやら問題の発端は、
自衛隊施設で政府批判を行う人物を呼ぶべきか呼ばないべきか、で揉めたことらしい。
で、仙石さんの発言で火がついたという。

 で揉め事というのはこちら、まあ、産経ニュース で我慢してください。
今月3日に一般人の入間航友会会長である88歳の方に、
政権を入れ替えたほうがいいと、政権批判をされたわけだ。
ちなみに会長が行う政権批判は自民党政権からずっと行ってきたとのこと。

 さらにいま、その前に七月頃に自衛隊の納涼祭において行われたという、
民主党松崎議員の自衛隊員恫喝疑惑が持ち上がってきた。
そして管政権は自衛隊と施設内に来た一般人には政治的中立性が適用されると話している、と。


【一般人の痛み入る挨拶に防衛省通達を出すという前代未聞の恥ずかしい政府行動】

まさに、泥沼、恥ずかしい。こればかりは政権末期と言われても仕方ない。

人生の大先輩で本当の挨拶をする人物が自衛隊施設で挨拶をし、
それを「ご挨拶真に痛み入ります」と言わずに、政治的中立性が適用されると喚く。
実際に一般人に行政処分として適用されたらこれは法廷闘争になりかねない。
会長のあの程度の発言なら問題にならない可能性のほうが大いにあると思える。

よくもこんな爆弾を自分から抱え込んだものだな、と管首相と仙石官房長官の浅はかさに戦慄を覚える。
これから自衛隊施設内で一般人に平然と政権批判をされたらどうするつもりなんだろうか……?


【一般人を含んだ、自衛隊施設内での行為における政治的中立性が無視された場合はどうする?】

一般人による自衛隊施設での政権批判=政治的中立性の無さ? 自衛隊法適用??

まず、政権批判を行ったら政治的中立性がない、
など自衛隊法を引用しても一概に認定できるかどうかは判らない。
それは法廷で判断したら、というかそんなこと一切考えてないのが管政権だろう。

文民統制と行政処分などを行うというのはともかく、
文民統制がそのままある施設内にて、
一般人相手に政治的中立性を確保しなければいけないなんていうのは、疑わしいところだ。
あったとしてその基準は自衛隊法だけでどこまでの範囲を設けたものなのやら?

それこそ行政と暴力装置と言われる警察と軍隊との関係、
世論との関係で巨大すぎて文民統制だけでは、政治的中立性なんていうのは、
おそらくとても確定できるラインではない。
問題は暴力装置発言が自衛隊違憲派云々というより彼らが捲くし立てて言う政治的中立性とやらにある。

自衛隊施設で問題があったときにいろいろな名目で捕まえたり警察に突き出したことはあったけれど、
自衛隊法を根拠に、文民統制による政治的中立性が自衛隊施設内で一般人にまで適用される???
あるいは自衛隊法が適用される???

などと一般人と自衛隊員に配慮を求めた政権など管政権が恐らく歴史上初めてではないか?

 こんな白紙に近い通達に爆弾まで下げて防衛省に通達させたのは失策でしょう。
上述の通り、実際の法廷闘争にはちっとも使えそうにはないものを、
元弁護士の仙石さんが適用されると喋るのは不思議だ。
こんな問題で法廷闘争されて最高裁までいったら大変だ。
だから政府も防衛省も自衛隊もどうしようもない威圧するための白紙通達にしか思えない。
法相問責もある時勢でよくこんな分けのわからない通達で揉める余裕があったものだ。
これは民主党政権だからいうのではないのですよ、管政権は本当に恐るべき落下状態に入ってますよ。

航友会会長の痛み入るような文化的挨拶から始まり、
ここまで拗れて政治問題化してる時点でとんでもないことだ。
単に報道に失言の揚げ足取りを取られたー! というレベルを超えてる。
たとえ民主党政権といえども心配だ。本当にもっとまともになってくれないと……。
「ご挨拶真に痛み入ります」くらい言ってればよかったことが政府内、国会であんな騒ぎになり、
本気で施設内での一般人の政治的中立性まで要請してるなんて異常だ。

 もし自衛隊員が馬鹿正直に一般人の行為を自衛隊法により制限します、などと行ったら、
そこで最高裁まで行くような法廷闘争を仕掛けられる。それが狙いだったらどうするつもりだろう。

政治的中立性とやらと自衛隊法と憲法を巡って敗北しかねない裁判なんてできるわけがない。


蛇足
↓久しぶりに本棚から出しました。

非対称的権力観、正統性の信仰、支配の三類型。

『現代政治理論』P33より、また引き引用
“それどころか、正統性の概念は「コンセンサスや政治的社会化とほとんど重なってしまうのみならず、
権力者による『動員』や操作、プロパガンダに還元されてしまう可能性」さえ高いのである(佐々木、1999、94頁)”
佐々木毅、1999、『政治学講義』東京大学出版会、第三章、五章より引用、らしいです。
まあ合法的信仰の支配、日常的信仰の支配ともに管政権は疑わしいところがある気がしますね。
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本持ってないけどウェーバー氏の御尊顔を
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