小沢民主党の選択  ―小沢氏が海外首脳についた嘘はやっかいだ― | 空気の意見 

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 安部総理退陣、と聞いて頭のなかにまっさきに浮かんだのは

「自衛隊派遣延長と安部退陣で民主党とバーター取引をしたのかな」という考えでした。

個人的にはこれで自衛隊派遣延長が決まったなと勘繰ってますが、

もしも決まらなかった場合はそれだけ小沢民主党がある意味別の方向で暴走してしまった、

ということになるんじゃないでしょうか?

 もちろん小沢氏の原則云々の言い分は正しいですけれども、

その主張が国際社会のなかで正しいかどうかを考えるとまったく違ってしまう。

そもそもすでに「イラク戦争」なんて終結してるわけですから、

欧米各国はイラクの事後処理だけでなくて、アフガンなどに国連の治安維持活動として

兵員を送っている(そしてその治安維持活動で死傷者をだしているのです)ので、

イラク云々だけではなくて中東の安全保障、治安維持、オイル価格のリスク含みの上昇、

そういった国際社会にとって重要な懸案に対処するために自衛隊も派遣されているわけです。

「じゃあ現実にアフガニスタンにおいて国連の治安維持活動が行われているじゃないか、

 自衛隊派遣を国連で承認、及び派遣を求めたら日本は派遣してくれるんだろうね?」

なんて訊ねられたりしたらいったい小沢氏はどう答えるのか。

 時局が変わり、自衛隊派遣が支えるものが「イラク戦争」云々の狭い範囲から

もっと大きい範囲の、国際社会の利益のために変ってしまっているのにも関わらず、

自衛隊撤退の理由が「イラク戦争には加担しない」とか「原則」だとか

欧米各国には全く不可解な理由に見えてしまうでしょう。

そもそもその「原則」とやらを捻じ曲げて自衛隊を派遣してくれたのに

なぜいまさら「原則」だけを重視するのだろう? 

なぜもっと我々の(当然、日本も含まれた)大きな国際社会の利益を重視しない?

いまの国際経済はサブプライムローン問題にまつわる一連の余波で不安定な状態だというのに。

 前にメルケル首相も自衛隊派遣について小沢氏に言及していましたよね。

ドイツですら軍隊を派遣して国際テロに対処するために貢献している。

国連の公認がどうとか話しながら結局原則の話をするなら、

小沢氏の話してきた国連公認での自衛隊派遣、

あるいはそれに類する集団の派遣なんか全否定になってしまう。

小沢氏は自分で自分の考えを全否定してしまった。

もちろんこれは日本憲法に沿った考えでしょう、

しかし小沢氏は日本の安全保障とか国際社会の安全保障について

少なくとも小沢氏が完全にこういった問題について無能であることを証明してしまった。

そしてその無能さ加減が日本ではまあ周知の事実でしたけれども

自衛隊派遣延長をめぐって海外にまで広く知れ渡ってしまうとは皮肉なものです。

まあ原則を捻じ曲げて自衛隊派遣した政治家なんかもたいして尊敬はされてませんが。

でも自衛隊自体の活動は高い評価を受けていますし、同時に広く感謝も表明されているのです。

 あくまでもテロ対策特別措置法の延長に反対を貫き通す小沢民主党の行動は、

明らかに国際社会の足並みを乱す行動に、どうしてもなってしまいます。

中東におけるテロとの戦いで欧米各国が血を流しているあいだに日本みたいな国が

自分の「原則」を盾にして隊列から勝手に抜けられる話ではないのに抜けようとしている。

派遣した兵の削減、受け持ち地域への不満、それに多くなる死傷者の数、その結果起こる撤退論。

それらの論争は各国でもあるものの、事実上たいした被害も受けてもいない、

さらにオーストラリア兵に守ってもらって活動している自衛隊がさっさと引き上げるとは

中東地域の安定を望むどの国からも理解されようがないでしょう。

 思うに、自衛隊の活動範囲を狭め、国連部隊やある国の治安維持部隊が攻撃を受けた場合、

自衛隊が応戦も支援もできないという状態にさらに自衛隊を悪戯においやるだけの

極めて独善的な選択を掲げ、混乱した方向を小沢民主党はつくりだしている。

いま撤退することは国際テロには関わらないといっているのと同じようなものになってしまう。

それはアメリカがイラクの兵力を削減しようとかいう話とは根本的に違うもので、

国際テロで国際社会がどうなってもいいという意思表示に自動変換されてしまいかねない。

 もっと突き詰めていきますと小沢氏が口にした国連のオーソライズというものは、

完全に意見が一致しない国連ではほとんど承認されない話でありますし、

たとえそれが国連から与えられたとしても憲法の原則を持ち出すなら、

なんのことはない、最初から自衛隊を派遣する気なんてないのだ、ということになってしまう。

ですから小沢氏は国際社会に自身の無能をさらけだしてしまったわけです。

頑固にできないならできないでいいが、

そうではなくて各国首脳に期待をもたせるようにみせて嘘をついているわけですから


安全保障をともに語るべきにも値しない無能な政治家と小沢氏が判断されても仕方がないでしょう。