線一本、点の位置などが違うだけでも認められるオリジナルライセンス時代の到来? | 空気の意見 

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 企画販売avex、ライセンス管理ZEN、イラストレーターわた氏、三者合作のAAインスパイヤ作品であり
フォークロアの産物といわれる「のま猫」キャラクターをめぐって騒動が起きている。
この問題については『「のま猫」問題に迫る』を参照してもらうとして、
のま猫側が合法性を持っていることは確かなことだ。
しかし、「人権擁護(蹂躙)法案」を振り返ってみてもそれは合法のうちに進められようとした。
つまり人権擁護(蹂躙)法案さえ合法だったということだ。これを止めたのは合理的にも倫理観からも
この法案が日本という国に不必要で自由を奪うと判断した人間達だった。合法的だからといって倫理観
といった観点からみれば拒否するべきものだ、という判断もこの世の中にはある。
とりあえず倫理観から少し離れてこのライセンスが仮に認められた場合のことを考えてみたい。

「線一本、点の位置などが違うだけでも認められるオリジナルキャラクター、ライセンスの時代?」
 有限会社ZEN 大元のライセンスを所有し管理している会社が代表者も明かさず所在地もない、
連絡先はメールのみ、不信がられるのもある意味当然かもしれない。
それでいて堂々と一次著作権所有者不明のキャラクターからの二次著作として派生させた
「のま猫」を一次著作物として取り扱い「のま猫」の著作権と管理を主張している。
しかし、この「のま猫」著作権と管理はほぼ無意味な権利になってしまう可能性もあるのではないか?
AA大辞典(仮)
すでに膨大なAAキャラが存在している。
ZENのライセンス権と管理が認められるならば、ほぼ同じような道筋を辿った「のま猫」系の
ライセンス権と管理は別ケースにも与えられるだろう。
だが、この後に派生してくる同型キャラクターやライセンス権や管理についてZENはどうしようもないだろう。
「フォークロアの産物によるAAキャラクター」+「のま猫ネーミング」+「他アイテムなどやコンセプト」
で「のま猫」のライセンス権を主張し現実に管理しても、この後同じフォークロアの産物によるキャラクターを
制限することもできないだろう。

 のま猫キャラクター自体独創的ではないし組み合わせアイテムやコンセプトがある程度違えば法廷で
争っても線一本、点一つ、ほぼ形状に違いのないキャラの派生パターンに裁判官はどういった
判断方法を用いて正否を審議するのだろうか?
それにZENは「のま猫」がインスパイアとし、MUZOがフォークロアの産物と主張したことは広く知れ渡った。
ZENはもしも裁判になったときには「のま猫」について説明しなければいけない。

ゲーム事件簿#3  ファイヤーエンブレムの項に注目してもらいたいが、
この事件の判決文→H14.11.14 東京地裁 平成13(ワ)15594 不正競争 民事訴訟事件
 この事件では原告であるイズおよび任天堂の訴えが退けられているのです。
ゲームシステムや美術つまりキャラクターや多くの類似にも触れられていますが
結局、原告は棄却され負けているのです。
もちろんコレだけで判断することはできません。

「のま猫著作権と管理権の主張は、結局無意味な主張になるかもしれない可能性」
『「フォークロアの産物によるAAキャラクター」+「のま猫ネーミング」+「他アイテムなどやコンセプト」』
 こういった構成も今ではキャラクター作成のパターンとして普通のものですし、
「のま猫」のキャラクター自体もひろゆき氏に確認に行ったりZENにて「インスパイヤ」と発言したり
MUZOにて「フォークロア」と説明している。
ということはすでに「のま猫」は既存のキャラクターとキャラパターンを意識して作成された産物だということを
彼らは認めているのです。だから裁判になった時には「のま猫」キャラについてコレと同じ説明をしなければ
裁判でこの事実を隠していた場合に、この事実について指摘されたならば心証を損なってしまうでしょう。
ただキャラクターの類似だけについて裁判で争ったとしてもこういった経過や「のま猫」や「モナー」といったキャラクター自体の簡易さからいって線一本や点一つといった微妙な差や違いから裁判官は判断
しなければいけないし、正否どちらでもそれを下した明確な説明を裁判官は行なわなければいけない。

 実際は「のま猫」が登場したフラッシュや作品を通じての著作権の主張がなされるのでしょうが、
わた氏のフラッシュも「おにぎり」というそのままのAAキャラが踊ったりと流用そのままのキャラが登場
する。フラッシュに登場する全てのキャラについて裁判官から説明を求められる可能性も十分あるでしょう。
それを公開した当時にO-ZONEの歌「恋のマイアヒ」を挿入したことの説明も求められるかもしれません。
 こういった感じに見ていくと、今、ZENは著作権や管理権を主張しても無意味なモノについて著作権などを
主張している可能性もあるわけです。
しかも2ちゃんねるとや不特定多数の人間たちに不快に思われながらです。
実際、「のま猫」について著作権と管理権を取得しても完璧に同一のコピー品ではない限りは、
類似してもファイヤーエンブレム事件のように棄却されてしまう可能性もあるわけです。

 「のま猫」騒動後に派生してくるかもしれない類似キャラクターや著作物に対して、「のま猫」の著作権と
管理権を主張して権利を取得しても無意味である、という事態が発生する可能性が今後あるのです。
「ファイヤーエンブレムは不正競争の訴訟じゃないか」と言われるかもしれませんが判決文には
キャラクターの類似についてこんな見解がでています。

『(ペガサスの影像について)
 しかし,以上の共通点は,証拠(乙19,31,39)及び弁論の全趣旨から,
 ペガサスはギリシア神話の有翼の天馬として一般に知られており,「ヘラクレスの栄光」
 (昭和62年6月発売),「ミッド・ガルツ」(平成元年12月ころ発売),「フェリオス」(平成元年2月発売),
 「テイルズオブファンタジア」(平成7年12月発売)といったゲームにおいても採用されているありふれた
 ものと認められることからすると,表現上の創作性がない部分というべきである。したがって,
 被告ゲームが上記のような点において「紋章の謎」と共通点を有するとしても,
 「紋章の謎」の複製ないし翻案に当たるということはできない。』
つまりペガサスはフォークロアから産まれたキャラクターですよね。
MUZOの見解のようにAAキャラもすでにォークロアの産物で「のま猫」がフォークロアから影響された
キャラクターならば、「のま猫」キャラクター達はすでに表現上の創作性がない部分だと判断されてしまう
可能性が高くなるのではないでしょうか。
ペガサスをいくら絵的にアレンジしても、そのアレンジキャラに著作権を主張しても無意味だということです。
ということは、これからいくら「のま猫」ライセンスを持つZENが「のま猫」を複製されて著作権の侵害だと
訴訟しても棄却される可能性もありうるのではないでしょうか?

こういったことから『「のま猫」の著作権と管理権を主張しても無意味になってしまうのではないか?』
といった僕なりの考えを述べました。