キックバックというと「お主も悪よのう」「いえいえお代官様にはかないません」「ぐはははははっ」って感じが漂うよね。(それにしてもこのやり取りはもはやミームってやつじゃな)

 

今回観てきたのは「ルックバック」、ええ、呆けるんなら「ジャルパック」でも良かったんだけど、まあ思いついたので(笑)

そうそうあの藤本タツキさんの短編漫画をアニメーションにしましたってやつね。

藤本さんと言えば「チェンソーマン」がバカ受け中で、こっちのアニメも海外では人気なんじゃけど。

今回のルックバックに関していえばじゃな、たぶん海外は眼中にないのじゃろうね。

ひどく地味でたわいのない日常に裏打ちされた、静かに流れる個人的な生き様の切片、そういうのを丹念に描いてる作品じゃからじゃ。(地味とは書いたけど、小さくない事件は起きます)

 

いろんなとこから「あれはいい!」というお話が聴こえるので、観てみようかなーって思ってたトコでした。

みきおさんも激押ししてたしな。

上映時間1時間弱というのもいいしね。(コスパ的には良くないんだろうけど)

この日曜日は朝から猛暑でじゃな、「どっか涼しいとこに行きたい」という妻の希望にも沿えるし(笑)

ということで小倉はリバーウォークまで行きましたよ。

当日は小倉は祇園祭の真っ最中でじゃね、停められるかどうかわかんなかったんじゃけど、なんとか間に合いましたな。

ここの駐車場初めて入ったのだけど、暗いトンネル道をひたすらぐるぐる上る感じで、途中で不安になるのじゃろうね「駐車場入り口まであと150メートル」とかの表示が笑えるわあ。

たしかにあれが無いと、この世ではないどこかに迷い込んでしまった感あるね。駐車場は6階かららしくて、ひたすら暗いトンネルを上り続けるのよ、それがね、なかなかコワイんじゃ。

結局10階まで行きました。

映画観たら4時間無料なのじゃと。ここは40分200円という料金なので、これは助かるねえ。

 

ルックバックは上映館が少ないようで、北九州市ではここでしか演ってないのじゃ。

少ない上映館であるにもかかわらず、興行成績が良いというのでも話題になってたじょ。

 

妻は実は漫画本買ってて、あんまり好きな話じゃなかった。言うてました。(なので渋々付いてきた感じ)

ちくわは読んでなかったので、楽しみにしてたんじゃよ。

漫画の方のルックバックは何ページか無料で読めるので、映画観た後で読んでみたら、ほぼ完全に一緒でしたがね。

つまりじゃな、余計なことしないで原作に忠実に映画は作ってあるのでした。

以前「20世紀少年」が画格からなにまで忠実に漫画をトレースしていたんじゃけど、それとはしかし微妙に違う感じはあったかな。(あれはやり過ぎだった思う)

旨くは言えないのじゃけれど、忠実に再現してはいるのだけれど、登場人物にまとわりつく肉付けを加味してるような。

加味するというと余計なことのように聞こえるかもだけど、そうじゃなくてやね、漫画のコマを少しだけ深く彫った感じで味付けした、塩とか胡椒とかをパラパラ振った感じで柔らかく仕上げたような。(やっぱり上手くは言えんなあ)

ともあれ、原作を読み込んで理解したうえでじゃね、アニメにするならここは塩要るかなあってとこにじゃな、ぱっぱっと愛情深い化粧塩がかかっている感じ。

愛だよね。うん。

そういうわけで、話題になるくらいには面白かったし、京本くんのキャラが実に愛おしくて、見てるだけで泣けちゃうのでした。(今回の声優を務めたふたりは、とにかくすごい才能を感じたわ)←声優さんじゃないのよ。

観て良かったざんす。

 

ただね、気になったこともあってね。

この映画ってね、家族の影がほとんど出て来ないのざんすよ。

漫画ばっか描いてる主人公に対して「おとうさんおかあさんも心配してる」と姉が言いに来るのだけど、そこがほぼ唯一の家族の影なんじゃよ。藤野の両親はシルエットとしては何カットかはあるのだけど、京本に関してはそれすらない。

粗末な葬式の祭壇が供えられるので、誰かは居るはずなのに、まったく出て来ないのじゃ。

世界が二人を中心に完全に独立しちゃっている。

もちろん、その方が焦点を当てやすいし描いてる方も楽かもしれないんじゃけどもね、「こんなでいいのかな?」ってちくわは思ってしまいましたよ。

特に引きこもって学校にも行かない京本の家族を出すのはかなり難度が高くてじゃな、出せばステレオタイプに陥るかもしれないし、説得力やリアリティを損なう危うさが生じるんじゃね。

だからといってこれでいいのかなあ。

 

最後に引っかかったとこ書いたけど、逆にじゃなそういうの無しに楽しめる作品だとも言えるわけで、よかったら観に行くといいよ。

 

映画観た後でごはんにしました。

トロロかけご飯が売りのお店があったんで、暑いしそういうあっさり気味のがいいよね、年寄りだからねってことでじゃな、そこにしたんだけどもね。

割と凝ってて、値段もリーズナブルで、味付けも良かったのじゃ。

ただね、店員さんの受け答えがマニュアル過ぎて、しかもかなり言うのにハードル高いセリフあったりして、実に棒読みに近いというか、心のこもらない感じに聞こえてじゃな、もっとこ普段使いの遣り取りにしたらいいのにな思いました。

藤野京本の演技が素晴らしかったので、点数が辛くなったのかもだけどね(笑)

ただ、接客というのは決められたことを言う、言えばいい、そう思っているだけだと進歩はないな思ったよ。

最近はそういうの増えたような気がしてじゃな。

いや、年寄りの繰り言にしか過ぎんし、彼らもただのアルバイトさんじゃろうからな、まあいいんだけどね。

 

以上珍しく映画レビューでした。

 

それにしたって、

でもさ、やるなら楽しくやればいいじゃんね。

ちくわはそう思ったよ。