うちのネコのことから書こうかな。
うちには「みやこ」っていうネコが居てじゃな。こやつは家の前で行き倒れになっておったとこを拾われたのじゃったよ。
拾われたというか、先住ネコのダンテが「やっ!」て発見してツンツンして生きてるのが判ったわけで、触るのもちょっと躊躇っちゃうくらいに汚れてたよ。
目は目ヤニで塞がれてて、背骨のありかが判るくらいに痩せてて、ボロ雑巾のように汚くてじゃね、アホ毛がぴょんぴょん伸びてて、災いをおこす黴菌くらいたくさん保菌してるような感じだったんじゃ。生きてるコトが奇跡みたいな感じ。正直ダンテに興味持って欲しくなかったね。
けれど、こうして拾っちゃったからには見捨てるわけにもいかなくて、食べられそうなもの探した。チュール近づけたら貪るように舐めた。食べられるなら助かるかもね。
そんなわけで病院に連れて行ったら「うーん、この目はもしかしたら治らないですね」言われた。しかも、なんやら寄生虫持ってるようで、他の病気もあるやもしれない。まあ一番は栄養失調も甚だしいってことでした。
そういうことでじゃな、飲み薬と目薬もらったけど、痛い出費だったのこと。( ノД`)動物病院は高いなあ。
まあ、そんなわけでうちに住むことになったのじゃけど、自分で助けたはずのダンテは、この新たな生き物を怖がってよそよそしい。「おまえが見つけたやろ、面倒見てやれよ」言うのだけど、「いや、なんすかこいつ、こわいざんす」みたいになかなか馴れてくんない。
ただ、眼はあまり見えないながらみやこはお転婆で運動神経も良く、ごはん食べるようになってからはメキメキ大きくなったし、壁は登るしダンテを襲うし、傍若無人なのでありました。どうもじゃれるときに爪が出てるようで、襲われては悲鳴を上げるダンテ君という構図に成り下がってしまったのでしたな。(弱っちい)
けれど先住ネコというのはありがたいもので、餌が欲しくなれば鳴くし、水が入って無ければシンクに登って「水無いぞ」って知らせてくれる。みやこはダンテにただ付いていくだけでほとんどのこと覚えなくて済んだわけじゃ。
そんなもので、ダンテが死んじゃったあと、取り残されたみやこは人間に甘えることも、餌をねだることもできないネコになってしまいました。だって、触ると迷惑そうにして逃げるしな、こいつ。「あたしに触らないで!」って感じ。
全然可愛くない(;^ω^)実際こっちも傷つくちゅーねん、ほんまに。
飼い猫に邪険にされてる飼い主って可哀想なもんじゃぞ。
しかし、猫は歳をふると賢くなるという、そう猫又のお話の様にじゃ。
みやこも少しずつではあるものの、変わりつつあるのでした。
長毛種なので身体を舐めない。同じく長毛種だったダンテ君はバカみたいに大きな毛玉吐くほど身体舐めてたんじゃが、こやつはもう全然やんないので、絡まってどうしても解けない毛の塊が3つも4つもお腹側に出来て、仕方が無いのでそれをハサミでカットしなきゃいけなかったよ。汚ギャルって呼ばれてたんだよ。ええ、マジで。(笑)
それがいつからかブラッシングされても逃げないどころか、気持ちよくなったようでじゃな、おかげでふわふわニャンコになりました。お腹に毛玉付かなくなったし。
ご飯もねだれるようになった。炬燵にはまだ自分では入れないけど、とりあえずの進歩かな。
とにかくじゃね、長々と書いたけど、とても厄介な性格をしてるというわけです。
ネコでもこんなに個体の性格は違う。おんなじように飼っていてもじゃ。
同様のことは当然だけどイヌにもあるじゃろう。馬にだってあるらしいからのう。
もっとこう違いが表れにくい小動物だってそうよね。まあ、どいつも命が掛かってるから、臆病で警戒心あるとこは仕方がないけどさ。
でもね、どうしてこんなに違うんじゃろうね。
なんかさ、みんな魂の色持ってるのかもしれない。
おっと、いきなりオカルト色強めだ(笑)
いや、そんなこと真面目に言いたいわけじゃないのじゃ、だけれどね、そんな気がしたってことなのじゃな。
御存じかもだけど、ちくわはいま幼稚園に通ってんだけど。
そこそこ顔なじみも出来たし、御贔屓筋もいるのよ。こないだは「タコヤキ」って呼ばれたものな。( ノД`)
どうやら頭の状態込みみたい。青ノリ振りかけてるように見えたのかもね。失礼極まりないが、あやつらは思ったこと口に出しちゃうから、仕方がない。
それは置いといてやね、御贔屓筋はちくわを年の離れた友達のように接してくれる。身体の大きなオトモダチ。
だから飛びついてくるし登るし、「お手伝いしたい」などと言ってちくわの仕事を邪魔する。( ノД`)
このくらいの年齢はほぼネコと同じくらいに気まぐれじゃ。
「なんで?」ってくらいに好意に満ち溢れて、外遊び中ずっと手を握ってくれることもあれば、けれど何か面白いこと見つけると、そんなに愛情を注ぎこんだはずのちくわを弊履のように捨てて走り去る。
ひどいわ(´;ω;`)
走り回る子もいるし、仲良しがたくさんいる子もいるし、ずっとひとりで土いじりしてる子もいる。
興味を持って話しかけてくれる子もいるし、その子の陰に隠れる子もいる、ハンサムな子もいれば美人さんもいるね。
そう、「みんなちがってみんないい」の世界なのだけれど、ほんとうに個性というのか性質はバラバラでじゃね、このままの資質を保ち得るのか、或いはどこかで変質するのか、そこのところは全然見通すことはできない。
ちくわは片手間というか、ただの用心棒なので彼らにすごく責任があるわけではない。
それに接する時間もごくわずかなので、全てを知り得る立場にはいないのじゃ。
だから。
いろいろと責任もあって各自に平等に接しなきゃならない先生たちと比較にならないわけなのだけど、密でなく疎であるからこそひとりひとりをじっくり見ることができるような気もすんじゃよ。
まああれじゃな、お母さんこそが一番その子を見てるのは間違いないのだけれど、愛ゆえに眩むところがない目で見える景色もあるんじゃないかしらね。
多くの彼ら彼女らを一緒くたに見なきゃいけない先生としての責任感、或いは特別の存在として目を掛ける母としての意識、そーいうもの無しに見る風景ってことじゃ。
美術館で少し離れたとこから絵を見ているような視点じゃな。
中学の時、塾で一緒だったA君、めちゃくちゃ面白くひょうきんで気が合った。馬鹿な話で大盛り上がりして、肩を叩き合いながら笑った。授業そっちのけでいきなり爆笑してしまうものだから、塾の講師もこいつらしょうがねーなって顔で半笑いしながら怒ってた。楽しい塾だったね。
別々の学校を志望してたけど、やがて塾も終わりそれぞれ別の道を歩んだ。
そして、ある日のこと道でばったり出会ったんだ。Aは何人かの友達と一緒だった。「よう」って声を掛けたら「ああっ」って応えたけど、明らかに迷惑そうだったんだよ。
友達の手前、ちくわがひょうきんな悪ふざけしてきたら困る、そんな表情だった。それを察して、それ以上は話しかけなかった。挨拶を交わしただけだった。すごく久しぶりだったんだけど。
両親が離婚して完全にグレちまったんだよって、あとで聞いたのだけど、ちくわはAの天真爛漫さが好きだったし、皆を明るくする性格がとても好きだった。なにがどうしたのかわかんないけど、とてもがっかりしたことを覚えてる。
こやつらもいろいろとこれからあるだろうけれど、どうかいいところ、光っているところが曇らないでいて欲しいなって、ちくわ先生は思っているよ。
先生を「タコヤキ」呼ばわりする高橋玲子(仮名)ちゃん、君だけはもう少し落ち着いて欲しいけどな。