お正月に猫を誘拐したことを報告したと思う。(あの、だからタイトルにある「子」というのは決して人間のことなんかではなくて、アヤシイ話ではないので通報などしないでくださいまし)

 

さて、その後どうなったかをお知らせせねばなるまい。

ちびたは連れてきて家の中に離すやいなや、興奮して走り出してじゃな、我が家の飼い猫みやこと鉢合わせして、「ひぃやああぁぁ」って感じでじゃね、どちらもパニックになり大慌てで逃げ去ってしまう。 みやこも逃げた(笑)

みやこがなんで一階に居たのかはナゾだが、両者共に不幸な初対面になってしまった。

ちびたは階段を駆け上がり、どうやらその後台所の米櫃棚と窓の隙間に逃げ込んだらしくて、とにかくそこから出て来なくなった。

「わたしはひとりで生きる、食事のときは呼ぶからあとはかまわないでほしい、いいな、わかったな」

みやこのスタンスというのはこれで、けっこう孤高を保っていて人と馴れ合うことを良しとしない、気高いというかかなり勝手な猫なのじゃけど、「わわわわわ、なんかおったわ、なんかおったでしょ」みたいに、びびりまくっていたよ。

そこから人間を盾として使うことに決めたらしく、おどおどしながらずっと付いて来るようになりました。弱っちい。勝手過ぎんだろ。

その変わりようがおかしくて、家人からも馬鹿にされていましたな。

いつもはご飯食べたら猫マンションに引きこもって出て来ないのに、ずっと不安そうにしながらリビングに残り、傍らに居続けるのじゃった。

 

ネコは環境の変化に慣れるのに時間が掛かる。 ということは知っていたので、まあしばらくは我慢比べかなってことで、刺激せずにほっておくことにしましたよ。

いつか出てくるでそ。

思えば平坦で広い駐車場の猫なので、いきなり閉ざされた世界に放り込まれればじゃ、そりゃ戸惑いもあるよね。

 

と・こ・ろ・が

 

全然出て来ない。というか、翌日になるとそこに居なくて、どこに行ったものか行方知れずになってもうた。

うちは以前6人家族で暮らしてたので、家はけっこう広くてじゃな、仏間や座敷は使われていなくて荷物置き場と化してるので、隠れるところはあるといえばあるんだけど、それにしても潜伏スキル高すぎじゃな。

声もしない音もしない、ごはんも水も減らない。

どこにいるんじゃ?

おいおい、ありがたい即身成仏におなりになる覚悟なのでは? などと疑ってしまう。

その後重ねて置いてあった瀬戸物茶碗がコトリと音を立てたので、不要な襖を立てかけてある隙間に潜伏している可能性が高まった。

おったわ。

 

なので、根負けして出て来るのを待つ。

 

待つ。

 

待つ。

 

しかし三が日が過ぎても現れない。

 

どんだけ臆病やねん。

 

鷹匠が新しく鷹を捕まえると、あとは鷹との対決なのだと聞いたことがある。

鷹は捕らえられたことを憎んで、或いは自らの自戒のために、餌を摂ることをせずそのまま死に向かうという。

そこで鷹匠は餌を目の前で振り、空腹と生への執着に望みを繋げ、鷹がその餌を口にするまで粘るのだという。

 

鷹かよぉ。(笑)

 

結局のところ、ちびたが姿を現すのは五日の日まで待たなきゃならなかった。

辛抱強い、というか強すぎ。

 

つづく。