長く空いてた角の洋服屋さん。

そこが改装工事に入ってじゃね。

へー、誰かが入るんだねって思った。

けど、基礎的な工事が終わったのに、一向になにも始まらない。

おかしいなあ、どうなってるんだろうと思ってたらじゃね、中で棚板削ってる人を見つけた。ガラス面が多いお店なので中は丸見えなの。

しかしどうも工事関係の人には見えないな、服装がカジュアル過ぎたし、手元が覚束ない、この人がオーナーなのかな? 思いながら通り過ぎた。

 

そっからひと月くらいして、そこはパン屋さんになりまちた。

そんで、思ってた通りじゃな、棚造ってた人がオーナーで、というか独りパン屋さんでやね、製造から販売まで一人で行うというスタイルでした。

なのでじゃな、買いにいったついでに「一向に開店しないので、どうしたのかと思った」由、尋ねてみたらじゃね「ガス管通ってたので、安心してたら、それはあっただけで、実はガスが繋がってなくて」、そこからまた工事ですわあ、まったくもう驚きました。 と、あんまり驚いた風でもなく答えてくれました。

なるほろ、ガス無いと困るじゃろうな。

 

そこ、開店は11時だったのだけど、いつ通っても11時には開いていません。

どうも焼くのに時間が掛かってるみたい。どうもすいません、12時半には焼きあがります。ってペタリと貼られています。

日曜日も開いてるので時々買いに行ってたんだけど、ある日張り紙がありまして「このままでは死んでしまうので、月曜だけでなく火曜も店休日にさせていただきます」とありまして、週休二日のパン屋さんになりました。

どうも独りで続けるのは、やはり大変なようじゃな。

 

言っとくけど、パンはすごく美味しい。ちくわはパンってあんまり食べないのだけど、美味しいか美味しくないかはきちんと判断できるんじゃよ。

ここのパンはいい。特にガレット・デ・フロマージュが絶品で、酸味の効いた中のクリームソースが素晴らしくて、ついつい買ってしまうのでした。クロワッサンもまた、食べるとテーブルを汚さずにはおられない。噛むと生地がはぜてあちこちに飛び散るからじゃけど、これは市販のシートを使ってない証拠なんじゃよ。手作りのレシピ見て貰ったら分かるけど、こいつの生地作りはかなり面倒なのじゃ。

 

そんで先日、再び張り紙がしてありました。

「靴下もパンツも穴が開いたままなんです。赤字です。すみませんが値上げさせていただきます」ってありました。このオーナーは要らん事書きすぎだよなあ、ちくわは思います。思いますがその手書きの張り紙は、要らん事があることで、仕方ない事情をきちんと伝えられてる気がします。

赤字なの? って訊いたら、そうなのですって返ってきました。

「全然、赤字なんです」

ここのパンってそんなに安くはないんじゃな、4個買うと1000円くらいするす。

ただ、品質を考えたらそう高いとも言えない。

「うん、多少上げてもお客さん付いてきてくれると思うぞ」と言っておきました。

 

去年のパン屋さんの廃業および倒産は新記録なのじゃそうじゃ。

同じくケーキ屋さんの廃業及び倒産もまた多い。

つまりやね、持続的に食べていける限界を下回るお店が増えてきたってことじゃね。

それは量販の品質が上がってきて、しかも「それ」しか売っていない場所以外のとこで買われてるからじゃ。

米屋や酒屋、タバコ屋、本屋、肉屋に魚屋、消えていった店舗ってたくさんあるのだけれど、それらとは異なり彼らは既存の商品を右から左に動かすってわけではなく、製品として加工する製造業である点で前者と異なるわけでやね、それさえ危なくなってきてる。

 

コンビニの存在が大きいのじゃと思うす。もちろんスーパーもだろうけど。

雑誌、たばこ、パン、なんでも一度に揃うざんしょ? ひとつひとつは単価安いんだけど、実はそれらが彼らの生活を担保していたんじゃよ。

本来ならば、そんな勢力に負けてはいけないはずなんだけどね、いくつも上の品質、リーズナブルな値段設定、手間をかけたスキル。

しかし、もう、もしかしたらそんなもんは望まれていないのかもしれない。

多様性は失われて行く。

努力し変化し続けないと生きてはいけない。

強いものが生き残るのではない、変化するもののみが生き残るのだ。言うたのはダーウィンですじゃ。

ただね、強いものが全力で変化して行ってたら、弱い者の変化など物の数ではなかろうね。

 

けど、だけどじゃ。

まったく同じものをいくつも作り上げて、薄利で売る工業製品に負けて欲しくない。

しんどかろうけど、がんばってほしいな、ちくわは思います。

なんとか工夫して、それとの違いを際立たせて欲しい。輝きを感じられる人にだけ分かってもらえたらええやん。

小さな隙間でも良いのじゃ。

そこにいつまでも居続けておくれ。

 

応援しています。

そんでやね、とってつけた感じになるのは否めないけどね、自分の書くものもそうでありたいな思っています。

隙間が小さすぎて、メタボには辛いけど、なんとか潜り込みたいと、スクワット続けてるちくわですじゃ。(エムさーん、続いてますか? 一日30回)

 

 

 

ひい、下書きしながら2~3日で書こうと思ってたのに、公開しておりました。

急いで書いたのでじゃね、いたらないとこがあろうとは思うし、最初考えてたのとちょっと違うんだけど、とにかく突貫工事終了じゃ。

ふう、たみぃさんありがとうね。

あれじゃ、なんの記事かわからんかったよね。

 

 

 

あ、そんでじゃな、関係ないけど、うちの母方の実家って村の何でも屋さんでした。鍬やら鎌やら野菜の種から、食料品や文房具、酒やたばこなんか売ってたんじゃよ。ちくわはそこに行くとじゃね、真っ先に売り物の昆虫網を奪い取って、近所の川でフナとかハヤとか捕まえに行くのでした。

しかし、これってコンビニだったんじゃんね。すごいな。

(コンビニのドミナント戦略っていうのも流石に頭打ちみたいね、働く人が足りないみたいだしさ。ちくわは村に一件あればそれでええんとちゃうん、って思っていますよ)